ドンリー空軍長官退官:同性愛者が臨時長官に

Donley-last1.jpg21日、空軍長官として史上最長の5年にわたる勤務を終えたMichael Donley氏が引退しました。
退任式はヘーゲル国防長官やカーター副長官、ウエルシュ空軍参謀総長等々の列席の下、アンドリュース空軍基地で21日に行われています。ご紹介する写真は、全て退任式の模様です。
ドンリー氏は、2008年6月に臨時長官に就任し、同年10月2日に正式に長官に就任。その後今日まで、山あり谷ありの5年間でした。なお同氏は、1993年に7ヶ月間だけ空軍長官を務めたことがあり、本当に空軍との繋がりが長かった長官です
また就任は混乱の中でした。何しろ前任者はあのゲーツ長官から空軍参謀総長と共に同時更迭され、同時に就任したシュワルツ大将は初の戦闘機パイロットでない参謀総長だったからです。
前任者の更迭理由は、公式には「B-52による核爆弾誤送事件」ですが、多くの関係者が「F-22製造中止と無人機導入に消極的」だったことが2トップ同時更迭の主要因だと語っています。
在任間は、ゲーツ長官主導の予算削減とオバマ政権下での強制削減、機種選定のトラブル(KC-46Aや軽攻撃機)、F-22飛行停止問題、F-35開発遅延、性的襲撃、同性愛者DADT方針転換、現役と予備役の任務分担、次期爆撃機構想等々、多くの問題に同時並行的な対処を迫られた5年間でした。ほとんどが今も継続中も問題ですが・・
普通は退任式のスピーチをご紹介するのですが、そんな苦労の多かったドンリー氏に敬意を表し、AF-Magazineによる最後のインタビューからいくつかのトピックをご紹介します
降りかかる課題への対応
Donley-last2.jpg●私が対応した課題は何一つ完全に解決していない。空中給油機計画は安定し始めたがまだ製造を始めたわけではない。F-35も新爆撃機も、まだ運用開始までには長期間を要する。それでも、少しでも前進できたことを喜びとしている
●私の課題への対処法はこうである。穴を掘り、少しづつ前進する。解決プロセスを見極め、修正しながら行動する。適任者を呼び寄せ、関係者の力を合わせて活路を見いだすのである。少しは後任者のために更なる発展の環境を残せたかもしれない
長距離攻撃能力と爆撃機
地理的な距離を我々は引き続き克服しなければならず、新爆撃機を長距離攻撃能力として大統領が保有することは、将来も価値あることである
しかし空軍は、過去の爆撃機開発(B-70, B-1, and B-2)で停滞や混乱を含む悲惨な経験している。技術的にあまりにも野心的な要求をしたため結果的に価格の高騰を招き、必要な数量を確保できなかった記憶である
2009年にゲーツ前長官が当時の新爆撃機計画を中止し、その後大幅な見直しや長期視野に立って、よりリスクの少ない現在のLRS-B計画に至っている
●それは既に成熟した技術を使用し、要求性能のトレードオフを見極め、「family of systems」で任務を果たす構想で価格を抑える狙いを持っている
F-35計画とF-22
Donley-last3.jpgF-22の生産は終了したのであり、生産を継続するかどうかの話は過去の課題である。私とシュワルツ大将が就任した際には既に結論が下されていた話である
●厳しい予算情勢に中、装備の近代化は容易ではない。しかし5世代機導入は必要な事業であり、成熟傾向にあるF-35計画は操縦者を訓練し、「initial basing decisions」に向かう状態にある
またF-22は依然世界最優秀の戦闘機であり、今後も同機の改善向上を進めていく
現役と予備役の関係整理
現役と予備役と州兵の任務分担や兵力組成を健闘する特別チーム「Total Force Task Force」を立ち上げ、それぞれの少将がメンバーとして参加し、3種のベストミックスに関する検討を開始している
●明らかなのは、どの種も単独で全ての任務を遂行することは出来ない点である。任務毎に組み合わせは多数有り、それぞれにケースで混合比率を検討しているが、相互の連携で解法を見いだすのだろうと考えている。タスクフォースが「fine-tune」を見極めるだろう
●しかし現時点で結論を語るのは早すぎる。将来の任務を想定し、戦略に基づき検討を進める必要がある。
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後任者を捜すのが大変だろう・・と思わせる米空軍の直面する課題の数々です。
Fanning AF.jpg本当なら、このような困難に取り組んできたドンリー長官を忍ぶ記事がプレスを賑わすところですが、残念ながらさにあらず。米メディアは、当面の間、臨時空軍長官として勤務することになる現空軍次官が同性愛者だとの話題で盛り上がっています
正式な新空軍長官の人選が遅れている中ですので、当面この臨時長官Eric Fanning氏が、何かと話題になることでしょう
臨時長官Eric Fanning氏とは・・・
Fanning氏は、海軍次官補の経験があり、また大量破壊兵器拡散とテロ防止評議会の副部長の経験があり、4月29日から空軍次官として勤務していた
●同氏は同性愛者であることを公にしている。米最高裁が同性愛カップルが異性夫婦と同様の便宜を受けることを排除する規則を設定したことに関し、「個人的には平等な政策が重要だと考えている」と述べている

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