「戦闘機の呪縛から離脱せよ!Ver.2」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
戦闘機命派の元将軍→「中国が本土からミサイル攻撃すれば、沖縄の航空機基地はたちまち作戦能力を失い、制空権は消滅するとの主張する有識者もいる。理論的には正しいが、現実離れしている」 あなたは元将軍の仲間ですか???
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4月23日、米国防省の航空宇宙分野の分析官であるThomas McCabe氏が空軍協会のミッチェル研究所で講演し、個人の立場で同研究所から出した最近のレポート「China’s Air and Space Revolutions」について語った模様です。
講演の内容の細部は不明ですが、30ページ弱のレポートは公開されていますので、「斜め読み」かつ「つまみ食い」で概要を紹介します。
そんなに特別な内容はありませんが、中国軍の能力評価と開発状況を特定分野(戦闘機、防空兵器、無人機、精密誘導ミサイル、ASAT、輸送機)について分析しています。
個人の見解とは言え、現役の国防省分析官(元空軍中佐)ですので覗いてみました
2020年頃までに中国軍の能力は・・・
●2020年までに中国軍の能力は、仮にC4ISRが適切な統合戦略で効果的に使用されれば(大きな「IF」であるが)、台湾のいかなる防衛網をも圧倒する
●更に沖縄の米軍と日本の基地防衛能力を凌駕し、第一列島線内の艦艇に大きな脅威となる。そしてグアム島までの範囲の米国と同盟国部隊に何らかの脅威となる。
●そして地域内の中国軍に対する米軍の対処行動は、大規模戦争誘発の危険を持つ。中国側の姿勢と能力からすれば、これを止めることはできない。
●中国は明らかに包括的な軍近代化に着手しており、道筋のある急速な近代化を航空戦力、防空、ミサイル、宇宙能力等で追求している。
●本レポートの範囲外だが、C4ISRの近代化にも取り組み、統合NCWでリアルタイムに近い目標情報をASBM等の長射程兵器に提供するシステム構築を進めている
●世界クラスの民間航空産業育成を宣言している様に、航空輸送能力の近代化も注目すべき
中国軍の評価と西側との比較
●中国が開発中の個々のシステムは、おおよそ現米国システムと同レベルのものである。レベルの低いものでも20年遅れ程度の装備で、過去に比して格段に差は縮小している
●つまり1990年代前半の湾岸戦争当時の米軍と同等の技術力と能力を、中国は備えるだろうと考えられる。かつての差は急速に縮小しており、我が方の財政状況から急速な戦力優位差の拡大も難しい
●我々は過去30年間、おおよそ技術的踊り場に存在し、西太平洋地域の米軍と同盟国の戦力は、せいぜい80年代装備の改良版レベルであることを肝に銘じるべきである。今後10年間もほぼ今のままである。
●中国は我々の能力を模倣するだけでなく、彼ら独自の能力も蓄えている。従って彼らが米国等と同様の作戦行動を行うとは限らない。中国の「必殺技」は彼らのシステムが示すような手法やコンセプトで行われると見るべきである
中国の革新的進歩に備えよ
●彼らが外国の技術を購入や盗んだりして模倣や複製をすることで、開発者より大幅に時間と経費を節約している。これは大きなアドバンテイジである
●模倣や複製から始まった技術でも、急速に「技術の国内化」が進んでおり、その設計能力は組織的にも能力的にも目を見張る成長を遂げている
●彼らに全てが可能になるとは考えにくいが、世界で第2位の軍需産業を形成する可能性を覚悟しなければならない
●中国は科学技術大国を目指すと宣言しており、多数に教育を行っていると宣伝している。成功するかどうかは不確かで、1960年代のソ連が誇張していた例もある
●しかし、米国社会が一般に科学技術への投資に消極的な雰囲気の中、中国は膨大な投資を同分野に行っている。ASBMのように我々に好ましくない投資もあり、長期的には技術的奇襲も警戒すべきである
●最後に重要なのは、中国が米国の半分や1/3の経済力でここまで来た点である。今後10年で中国が経済力で米国と並んだり超えたりした場合、米国の様に人件費を気にする必要のない中国は、何をしでかすのだろうか?
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個人の立場とは言え現職国防省員のレポートですから、強制削減の影響への警告を議会や国民に発する狙いもあるでしょう。
しかし全般には、誇張や大げさな表現は控え、淡々と冷静に中国軍の能力評価と開発状況を分析していると思います。
例えば、中国軍の指揮統制や全軍種の統合運用力に疑問符を忘れない点や、ASBMの開発が大きな技術的問題を抱えている点もキチンと触れています。
一方、余り取り上げられない旧式戦闘機J-6の無人機改良型が少なくとも200機以上存在し、「おとり」や自爆的攻撃で我の防空を飽和させる能力があることにも言及しています
慎重な書きぶりですので、少なくとも記述された部分は「信憑性が高い」とも考えられましょう。
レポート実物(630kB:28ページ)
→http://www.afa.org/Mitchell/Reports/MP10_China.pdf
対中国作戦のシナリオを(米国防省の認識に近い)
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30
「脅威の変化を語らせて」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08