統参議長「我々の存在でなく、不在が地域の不安定化をもたらすと考えている」
22日、韓駐日3カ国訪問ツアー中のデンプシー統合参謀本部議長が、中国軍参謀総長のFang Fenghui (房峰辉)大将と3時間にわたって会談し、その後まず1時間は小グループの記者会見、続いて大規模記者会見に臨みました。米国防省webサイトは、大小の区別を明確にせず会見の様子を報じていますので、ご紹介します。
全般に記事は、両者が会見で「対テロ、北朝鮮、災害対処、サイバー攻撃」に関し「同様の口調で語った:spoke with similar voices」と表現されていますが、「初めて議論した」分野では双方の意見のぶつけあいが3時間の中であったようです
なおFang大将は、昨年10月25日に北京軍管区司令官から現職に就任した方で、第17代共産党中央委員会のメンバーでもあります
まずはFang大将のお話から伺います
●デンプシー議長御一行の訪問を歓迎し、本訪問が両国軍の意見交換を進展させることを期待する
●朝鮮半島が核の無い世界であり続けることを望み、北朝鮮による核実験に断固反対する。国連安保理による北朝鮮への制裁を支持する
●北朝鮮との平和的な対話が、北朝鮮の核開発願望に対する多国間の懸念への最も望ましいアプローチだと考える。6カ国協議の両サイドが積極的に動くことが望まれる
●サイバー攻撃はサイバー空間に依存するすべての大国にとって懸念事項であり、仮にネットセキュリティーが保証できないなら、それは核兵器に匹敵するほど重大なことである
●中国はサイバー攻撃の多大なる被害者であり、国家指導者は容赦なくこれに対処する。しかし、ネットは誰でもどこからでも利用可能であり、攻撃の発信元を突き止めるのは大変困難である。
●デンプシー議長と私はサイバー安全保障の重要性を話し合った。共に何が出来るかを考えることが重要だと信じている
デンプシー議長は結構率直に・・・
●21日に四川省で発生した大地震の犠牲者に哀悼の意を表し、即座に対応を開始された人民解放軍に敬意を表する。またボストンの爆破テロで被害に遭われた中国人留学生にもお悔やみ申し上げる
●(記者の質問:米中関係を妨げている3つの問題、台湾への武器供与、米軍による中国偵察活動、差別的な法の中国への適用について)我々は3つの議題全てを議論し、第4、第5、それ以上の話題を扱った。このような話題を始めて議論したことがポイントではないかと思う。
●両国は戦術レベルで頻繁に接触を持っているが、より頻繁な高官の交流により得るものがあると考える。戦略的な対話の継続により、より良く深く永続的な関係が築けるものと考えている
●我々は中国との関係を、歴史的な他国との同盟関係の中で考慮している。どちらかを選ぶと言うことではなが、我々には同盟国等に関する義務がある。しかし我々は、中国との戦略的な対話を増やしていきたい
●(記者の質問:中国近傍での米国等による演習について)私がなぜ訪問したかの核心に関する点だ。米国は太平洋のパワーであり、中東で忙しくてもアジアから去ったことはない。
●我々はこの地域と密接にかかわっている我が国益を守るため、安定に寄与することを意図している。米国は地域に安定化作用を及ぼしたいと考えている(seeks to be a stabilizing influence)。我々の存在ではなく、不在が地域の不安定化をもたらすと考えている
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ケリー国務長官の状況から、軍人レベルでは「丸く収めた」会談かと思いましたが、結構それなりに主張しています。
米国防省web記事は、日本で報道されている中国側の発言、「中米両国がそれぞれに双方の核心的利益を尊重」や「太平洋を両国で2分割して管理」等の発言を「無視」するように取り上げていません。
これは評価すべきです。毅然たる態度と言うべきでしょう
中国側の対応にほとんど変化はなく、更に頑なになっているようです。
絶対的な力に欠ける習近平の主席就任で、ますます発言力を強めていると言われる軍部ですが、そんな所が垣間見えた「3時間会談」だったのでしょう。たぶん
次は日本を訪問です
「長官が米中関係の重要性を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-24
「パネッタ長官2度目の訪中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19
「米中国防相会談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-08
「マレン議長訪中と美人通訳」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-12
「戦闘機の呪縛から離脱せよ!」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16