10日、ヘーゲル国防長官が会見を開き、オバマ政権が議会に提出した2014年度予算案について説明しました。
日本ではアジア太平洋重視が明確な予算案とか報じられていますが、米国防省webサイトが本会見について報じた記事は、全く別の視点を中心に報じています。
つまり、アジア太平洋重視とかは過去1年間に語り続けてきた「枕言葉」で、肝心なのは強制削減の代替となる国防省による予算削減方策だ・・とも言いたげな内容です。
ヘーゲル長官は統参議長とともに会見で
●大統領が提出した2014年度予算案は、作戦及び戦略的ニーズと、税金を如何に効率的に国防省内部で使うかのバランスを重視したものである
●まず第一に、予算の最大有効活用を継続して追求し、国防省の運用要領を変更し、支援業務コスト削減して、今後5年間に追加で3兆4千億円削減する。これは、2年前から取り組んでいる21兆円削減に追加するものである
●次に、文民職員のリストラ、軍医療機関の見直しと民間医療の教訓を生かすことでのコスト削減である。軍の医療関係では、経費の4%削減で予算を組んでいる
●また、基地の再編や閉鎖(BRAC process)を2015年に向けて要求していく。短期的には再編や閉鎖経費が発生するが、長期的には大きな経費節減につながるものである
●更に、成果が乏しい各種開発計画やプログラムの打ち切りで経費を節減する。過去4年間に30以上の調達計画を中止させてきたが、今後も21世紀にふさわしいアセットにリバランスし、新規分野であるサイバーやISRの様な能力に投資していく
●国防予算の1/3を占める人件費(compensation?)に関しては、2013年度の1.7%の伸び率から1%に抑えた
●国防省はまた、医療保険コストをより受療者に負担してもらう方向に舵をきる。特に若くして退役した受療者に負担をお願いし、制度が計画された時点の収支計画に戻す
●現在我々が直面する予算や財政の不透明感の中では、厳しい決断を先延ばしするほど、対応が困難になる。
●2014年度予算案で示した考え方は、議会に対し強制削減撤廃を可能にするものだと考えている。強制削減では無差別に今後10年間で50兆円削減になっているが、本予算案は同期間で15兆円削減を遂行する計画に基づくものである
●そして予算案は、経費削減の多くを2018年以降に計画し、それまでの間で軍の態勢や装備近代化を行い、無差別に傷つける事無く管理する猶予を確保する
●予算的制約は決して消え去らない。この財政環境は、大統領が昨年示した新国防戦略(DSG)を軸にした明確な指針に沿った精査分析を求めている
●私は先月、そのために国防省の戦略的前提を再評価レビューするよう指示した。戦略的選択とマネジメントレビューは、この緊縮の時代に、国防省が国益と戦略的利益を確保するためのものである。レビューの結果は「the end of the month」に示される
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ヘーゲル国防長官が命じた「レビュー」の期限は5月末だったと思ったのですが??? 勿論今月末でも結構です。連休はあんまり関係ないので・・・
(←写真左は、早速関係議員に予算案を説明するヘーゲル長官ら)
私も関心が高い方ではありませんが、退役軍人の医療制度と負担増は、なかなか手がつけられなかった難しい分野です。これに言及したことは大きな決断でしょう。
人件費の削減やリストラも、淡々と語るヘーゲル長官の決意が伺えます。この方向で行くと「the end of the month」のレビュー結果に、軍人は戦々恐々でしょうね。
強制削減の影響を語る
「海軍は空母活動停止も示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-26-1
「太平洋軍が強制削減の影響を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-06
「空軍2トップが強制削減策を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-15
「サンダーバード飛行中止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-05
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