パキスタンの港が中国企業管理に

1月以上前の話ですが、1月31日、パキスタンの情報相がホルムズ海峡に近いオマーン湾に面した港:Gwadarの管理権をシンガポール国営企業から中国企業(China Overseas Port Holdings)に譲渡する予定だと語っています
「真珠の首飾り」戦略とか呼ばれる中国によるインド洋進出を象徴するようなニュースですが、なかなか大変な面もあるようなのでご紹介します
Gwadar港の状況・・・
paki-port4.jpg●深度のある良港で漁港として利用されてきた。10数年前から、パキスタン政府は同港をUAEのドバイのような交易通商港にするとぶち上げている
●港の改修経費230億円の75%を中国が出資し、一方でその管理権は2007年からシンガポールの国営企業PSAが40年契約で握ってきた
●しかし、パキスタン政府が約束していた港に通じる道路や鉄道、倉庫等のインフラ整備が進まないこと、またPSAが求めた土地の使用を認めなかった等の問題で、今回の管理権移譲話が出たものと考えられている
●特にパキスタンを南北に走る「Indus Highway」との連接道路900kmが6割程度しか完成していないことが大きなネックとなっている模様
関係国の姿勢や状況
paki-port2.jpg●パキスタン情報相は「中国企業の投資により、同港が運用可能となることを望んでいる」とのべ、昨年11月を最後に船舶の入港が途絶えている現状改善への期待を示した(写真左は2007年当時のもの)
●同港開発開始時にムシャラフ大統領は、中国資本が注入されているからと言って、中国が軍用に使用することはないと説明していた
●情報相の発言を受け、シンガポールも中国政府もコメントを差し引かいえているが、中国外務省報道官は一般論として「中国パキスタンの友好関係に資することであれば、積極的に支援する」と述べている
●中国企業は、PSA等に30億円強を支払って管理権を獲得する模様だと報じられている。また、900kmにわたる接続道路の建設費にも、北京から多額の資金が供給されてきているとパキスタン高官は語っている。
Gwadarから中国Xinjiang省への陸上ルートは、標高4500m以上の峠もある難ルートだが、海上ルート4000kmと比較すれば2000km程度と距離は半分である。
専門家の見方等・・・
paki-port3.jpg●中国の海洋進出加速を懸念する専門家もいるが、プロジェクトの現状等を踏まえ、現時点で中国の軍事的進出を示唆する頬度の動きはないし、仮にあったとしても長時間を要すると見る専門家もいる
●むしろ同時期にパキスタンが発表した、イランの出資によるイランとパキスタン間の石油パイプライン設置合意が米国で問題視されており、クリントン国務長官(当時)がパキスタンへの制裁発動を示唆していた
ご参考記事:wedgeサイトより
→http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2630
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新しいケリー国務長官とヘーゲル国防長官のコンビでは、パキスタンやアフガンやインドをどのように扱っていくのでしょうか。
何かソフトな、深入りしない感が漂っていますが・・・。
イランとパキスタンの石油パイプラインの件は、パキスタンの国内選挙向け宣伝材料だとの解説がありますが、その辺りを含め、ケリー&ヘーゲル両氏の動きに注目です
中国の海外進出
「中国がパキスタンで苦労」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-24
「セーシェルで米中様々」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-14
「中国のアフリカ進出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-14
「中国病院船がアフリカへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-02

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