ASBはクリスマスツリーの飾りではない
20日からフロリダ州オーランドで、米空軍協会の冬総会(Warfare Symposium:22日まで)が開催されています。
米空軍主要幹部のほか、国防省高官や軍需産業関係者も集結し、米空軍の夢や課題を語っています。もちろん強制削減が目前に迫っていることもあり、明るい雰囲気ではありませんが・・・
本日は同総会で行われた「エアシーバトル(ASB)パネルディスカッション」より、海軍と空軍司令部の作戦責任者による「ASBはワシントンDCだけのものじゃない」等の発言をご紹介します
久々にASB関連の話を取り上げますが、ASBに対する強力な組織的抵抗が続いている様子が伺えます (AF-Magazine-2月21日付記事)
フィールズ空軍中将とグルームズ海軍少将は
(空軍作戦部長と海軍作戦課長?)
●ASBは、決してワシントンDCで勤務する人達のペットではない。国防省の関係者は、コンセプトを部隊に説明し、ともにウォーゲームや演習等の活動に繋げている
●異軍種間の協力やコンセプトに基づく戦力強化がASBの核であり、また従来からの課題に新しい手法で取り組むのがASB的思考である
●例えば、サイバー効果は戦略的チョークポイントにおいて敵のA2AD防御を和らげることができるかもしれない。
●また、第3者による攻撃も考えられる。例えば、空対空の戦闘場面で海上のイージス艦が電子妨害で支援したり、潜水艦の艦長が(空軍の)無人機情報を活用したりすることである
●我々はこれまでとは異なった世界にいる。(海空軍が)より相互協力的になる必要がある。
●ただし強制削減が大きな影響を与える可能性があり、訓練はおろか、飛べない航空機や港に係留した艦艇が増加する可能性がある。実際の訓練が出来なければ、頭を使った演習を考えることになる
更にASB懐疑派や反対派に
●海軍と空軍は、ASB批判者や国民(一般兵士?:general public)に対し、ASBコンセプトがどんなものかを説明し、間違った認識を正すキャンペーンを始めようとしている
●ASBに関しては、多くの誤情報が流れている。これは戦略ではなく、現実世界や地域コマンド司令官を除外して検討するものでもない。
●また同時に、クリスマスツリーの飾りものではなく、今世紀における海空軍の戦いの課題に対応し、A2ADを克服し、遠方に戦力投射するものでもある。
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思いっきり手短にASBを説明すれば、予算が厳しい中、未だ経験したことのないレベルにある中国の強力な軍事力に対抗するため、戦い方を見直すと同時に、陸海空海兵隊がバラバラに無駄に装備品を要求しないよう相互連携を徹底的に追求するコンセプトです。
自然な流れだと思うのですが、ゲーツ前国防長官のトップダウン的にスタートしたこと、各軍種の領域を侵す(重複部分の削減に含み)こと、ただでさえ強制削減で現場部隊が傷んでいる中での改革であること等から、強烈な組織的抵抗がある様子が伺えます
中国と戦う前に、軍内で戦う。70年前に我が国でもあったような。
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