24日、海軍トップのグリーナート作戦部長(CNO)が海軍主要幹部宛のメモを発出し、議会の機能不全で3月1日から発動されそうになっている予算の強制削減への対応方向を示しました。
14日に空軍2トップが行った会見同様、海軍トップのメモも事実上公開されて軍事情報サイトが報道しており、強制削減の影響の大きさを訴えて議会の行動を促そうとの意図が伺えます。
基本的には「後から取り返し可能なもの」から削減しているとのことですが、取り返しに時間が掛かって戦力運用に大きな影響が出ることになるようで、このあたりは空軍も同様でした
対応方針は大きく2段階になっており、強制削減の有無にかかわらず今からすぐ始めないと削減実施後だけの削減では追いつかないため実施する先行削減と、強制削減決定後に「少なくとも」実施しなければならない主要事項からなっています
本日は「強制削減は空母が出撃できないことを意味する」とのタイトルを掲げた24日付Defense-News記事からご紹介します
直ちに実施の先行削減には・・・
●計画されている艦艇187隻のオーバーホールのうち、30隻分の中止。4月から9月の間に、民間造船所に委託している修理の大部分の中止を意味する
●海軍保有の造船修理4施設は修理は継続するが、労働者の1割(3千人)を新規採用中止や期間労働者採用中止で削減する。
●4月から9月期計画されている航空機240機のデポ修理を中止する
●9月までの基地機能支援関連業務の削減。海軍基地施設(桟橋、滑走路、建物等々)の修理や更新を含む。
●ITサポート業務の削減。喫緊の任務に直結しない会議や出張の中止や極限
3月1日に強制削減が発動されると・・・
●前線への展開を除く全ての訓練や演習の中止。これはつまり、空母戦闘群等が訓練未了のため究極的には出港できなくなることを意味する。
●中東やアジア太平洋での海軍の作戦行動を更に縮減する
●2013年度後半に展開予定の2つの空母戦闘群の訓練経費は何とか確保するが、2014年度に展開する部隊には訓練を行わせることが出来ない
●海軍の各部隊指揮官は予算状況を詳細に分析し、可能な限り全力で訓練や維持整備を継続する所存だが、一旦訓練や修理を中断すると、作戦活動参加への備えに平均約9ヶ月間を要する。
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24日付Defense-News記事は、海軍トップのメモ全体を掲載しています。
予算の専門用語が理解できず、細部は省略してご紹介しましたので、興味のある方はご自身で確認ください
強制削減が回避されても、軍事予算が維持されるとは考えにくく、上記の一部は確実に遂行されると思います。
日本側への肩代わりや思いやりの強化要求が出るかもしれません。
「空軍2トップが強制削減策を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-15
「強制削減をやさしく解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-28