異例衝撃:米空軍トップの新年レター

Welsh4.jpg新年2日、米空軍参謀総長が全空軍兵士に向けた「新年おめでとう」と題したメールを配信しました。
普通、この手の新年メッセージに新味はなく、「困難はあるが、今年も頑張ろう」との中身に落ち着くものですが、今年は極めて異例な内容となっています
メールは、家族や故郷から離れて勤務する兵士への労いと、予算をめぐるゴタゴタを気にすることなく任務に取り組もうと呼びかけから始まっています。
そして昨年末に亡くなった「伝説のエース戦闘機パイロット」を讃え、その伝統を大切にしようと話は進みます。
しかしその後の中心部分で参謀総長は、昨年12月に全空軍を対象に実施された「health and welfare inspection」(厚生査察?)の結果に言及します
空軍トップは新年メッセージで・・・
Welsh3.jpgわが空軍の人員構成も変化した。下品で、低俗で、空軍兵士の一部を中傷する画像や歌や伝統は、我々が誇るべき伝統ではない
●査察の結果に私は驚いた。それは戦闘機パイロット文化(an attack on fighter pilot culture)への攻撃であり、特定の組織や個人への「魔女狩り」のようなコメントであり、特定イベントへの反応であった。これらのコメント全てが真実ではない
私の言いたいことは2点である。まず、性的襲撃撲滅に真剣に取り組むなら、我々はセクハラや不適切な関係に甘い環境を除去すべく真剣に取り組まねばならない。これらは性的襲撃や服務問題の先行指標である
●次に、空軍人としてのプロ意識と躾を継承しなければならない。空軍のかなりのメンバーが、彼らを不愉快にするポルノ写真や職場での発言等を無視することによって、日々を何とか過ごさなければならないと感じているのだ。
WwlshCUSAF.jpgこれは我々が望む空軍の姿ではない。すべての空軍人は敬意を持って処遇されなければならないのだ。
●それに欠ける事は、躾不足や我々の価値観への冒瀆を意味する。また、部隊の士気や任務遂行の効率性に問題を生ずる。我々はこれを許すことができないし、しない
●君たちのみがこれを実現できる。私はみんなの助けを必要としている
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上記メッセージの後、参謀総長は数週間後に2013年の任務遂行指針を示すとし、最後に空軍のメンバーとして頑張っていてくれることに感謝の意を表しています。
ご紹介した部分は、必ずしもその指し示す対象が明確ではありません。昨年から何回も取り上げてきた「性的襲撃:sexual assault」やセクハラがメインのような気もするのですが、そんなに単純ではなさそうな気もします。
cyberStuxnet.jpg注目すべきは、これが全兵士への年始の挨拶メールであり、かつその中に「戦闘機パイロット文化への攻撃」との具体的言葉が使用されている点です。
性的襲撃は米国防省全体の問題ですが、空軍内では「戦闘機パイロット文化」と結びつけて議論しなければならなくなっているのでしょうか?
想像をたくましくすれば、空軍をめぐる環境や脅威の変化の中で、従来中心だった「戦闘機パイロット文化」が異臭を放ち始めた・・・ということなのかもしれません。
レターは1枚ペーパーです。ご興味のある方は
→http://www.airforce-magazine.com/SiteCollectionDocuments/Reports/2013/January%202013/Day03/010213_Welsh_letter%20to_airmen.pdf
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