防衛省が「統合防衛戦略」に着手!?

Waterdrop.jpg元旦の産経新聞電子版は、防衛省が有事シナリオに基づいた「統合防衛戦略」の策定に着手したと報じています。
新政権による「防衛計画の大綱」の改定に備え、改訂作業が本格化する夏までに、新大綱の「下作業」として「統合防衛戦略」の策定は夏前に終えるとか・・・
まことに勝手ながら、まんぐーすの独断と偏見に基づく「つっこみ」(↓の部分)を入れながら、ご紹介します
背景にある問題意識は・・・
これまで大綱の策定作業では有事シナリオに基づいた検討を行ってこなかった。
●そのため3自衛隊ごとに脅威の分析が異なり、「統合運用」には適さない装備を導入する弊害も指摘されていた
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この問題認識は正しいです 例えば・・・
元防衛大臣・石破茂氏の発言
Ishiba.jpg陸海空がバラバラで信用ならない。別々に内局へ行って分からず屋と言って、政治が馬鹿だと言ってそれで終わり。天を仰いでこの国はだめだとか言っている
●陸海空の装備が、本当に統合作戦を頭に入れて、陸は、海は、空はいう予算を組んでいるかというと、私は3年間防衛省にいたが、絶対にそうだとは思わない
→→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-29-1
有事シナリオ検討の方向性は?
10~20年後の有事シナリオを検討対中国有事が柱。沖縄県・尖閣諸島などへの侵攻を想定。対中シナリオは尖閣、尖閣と石垣・宮古両島、それらに加え台湾-への侵攻の3種類
北朝鮮シナリオは弾道ミサイル攻撃と、原子力発電所などへのゲリラ攻撃を想定する。
ロシアを含めた3カ国の動向を中心に将来のアジアの安全保障環境を分析した上で、日米同盟と防衛力整備の方向性を提示。シナリオから導き出される装備と運用構想を打ち出す
具体的な装備品には・・・
RQ-4.jpg●在沖縄米軍の主力部隊「第31海兵遠征部隊」(31MEU、約2200人)規模の海兵隊機能を陸上自衛隊が備えることを検討し、対中有事での離島奪還作戦に備える
東シナ海の常時監視に向け、大型飛行船を浮かべる成層圏プラットホームや無人偵察機の導入を視野に
●中国の海・空軍力強化を見据え、新型潜水艦や、主力戦闘機F-15後継機の開発・導入も急務と位置づけ
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有事シナリオ検討の方向性にも大きな異議はありません。
強いて指摘するならば、「10~20年後の有事シナリオを検討」とは、CSBAが「エアシーバトル」を提唱したレポートの検討時間軸と全く一致しています。つまり、幾分かはエアシーバトルの対中国脅威認識があり、米国からの強力な働きかけが背景にある防衛大綱見直しだと言うことです。
「CSBA米中衝突シナリオ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
外圧でも何でも、変化が進むのであれば結構ですが、気になる部分もたっぷりあります
●米国と一致しない部分の主張は大丈夫か?
pentagon_aerial.jpg米国は軍事的合理性に基づき、当然ながら自身の国益を中心に考えます。その中で日本との同盟を重要と考え、対中国でも日本の防衛をそれなりに重視しているわけです。
しかし米国も半世紀以上空襲を受けたことは無く、敵の攻撃からの「聖域」を作戦基盤としてパワープロジェクションを行ってきたわけです。
従って、中国のA2AD域内での戦いを余儀なくされる日本の状況を、どれだけイメージアップできているかは大いに疑問です。これは仕方の無いことで、自分を良く知る日本が自ら考え、自らが主張し、自らが備えなければならないのです。
米国が戦闘機を買えといっても、「後方に転進して分散配置」される米海兵隊の替わりに陸自海兵部隊を創れといわれても、限られた予算と人的資源で本当に何をすべきかは、最終的に日本が判断すべきです
まずは「専守防衛」撤廃です。強大な大陸国に小さな島国が限られた資源で対応しなければならないのです。何でもやりましょうよ! 
●陸自や戦闘機命派の「組織防衛」DNAに注意!
「統合防衛戦略」策定には、人的に余裕たっぷりの陸上自衛官が多数関与すると思われます。そしてその大半は「陸自」組織防衛DNAを埋め込まれた人材です。
海兵隊機能を備えた陸上自衛隊部隊創設に「大きな声」を上げ、火事場泥棒「焼け太り」理論を持ち出さないよう、今こそシビリアンコントロールが発揮されるべきです。陸自を5万人削減し、3千人の海兵機能部隊で十分でしょう
Su-30Russia.jpg戦闘機命派にも注意です。F-35は世界が認める「Too Big To Fail」な失敗事業です。100歩譲って大人の付き合いが必要でも、最小限にすべきです。この失敗事業にこれ以上の資源投入は避けるべきです。
「仕方ないじゃないか、戦闘機以外に何が買える」との逃げせりふで誤魔化せる時代ではありません。戦闘機は最も準備が必要で、最も脆弱で複雑なインフラやシステムに依存するシステムです。
また、この時代に戦闘機を中心に沿えることは、人の成長を阻害します
まぁこのあたりで・・・
「脅威の変化を語らせて」
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08

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