ネットから切り離して無線LANも使用しなければ安心だった時代は終わろうとしています
16日付「Defense News」は、電磁波技術を使って切り離されたネットワークにウイルスを送り込む技術の研究について紹介しています
抽出については、「TEMPEST」というPC等から放出されている電磁波からデータを読み取る技術が80年代から話題になり、キーボードやモニターから放出される信号を探知解読する技術が、今日では距離も正確性も飛躍的に向上しているようですが・・・
そこで今度は「注入」に関心が・・・
●11月28日、米陸軍の情報インテル部(I2WD:Intelligence and Information Warfare Directorate)が60以上の組織を集め、電子戦とサイバー戦の融合に関する議論の場を設けた
●戦術電磁サイバー戦計画では数個の目的を掲げているが、防護され外部と連接していないネットワークへのデータの「注入」機能を、箱のような装置に組み込む計画も含まれている
●物理的な接続無しにデータ注入が出来れば飛躍的な技術革新だが、専門家によれば接近距離が依然課題のようだ。一方で、装置を搭載した車両を一定距離内に置けば閉鎖ネットワークへのデータの抽出入は可能である
●陸軍の担当部署責任者によれば、空と地上プラットフォームで特に試験を計画している模様であり、今後2年にわたり3カ月間隔で多様な電磁技術をデモする予定である
●陸軍の担当責任者は「まだシステムになっておらず、技術のデモンストレーションだ」と説明し、「電磁サイバーの戦術的な利用は将来の話だ」と慎重な姿勢も見せた
●目的は閉鎖システムへのアクセス確保かと質問したところ、細部への言及は避けたが、「全体の一部に過ぎない」と答えてくれた
●別の関係者によると、アフガン等で大きな課題となっている簡易仕掛け爆弾(IED)対策も喫緊の重要課題だそうだ
●TEMPESTによる「抽出」技術は近年洗練されてきており、より遠方から正確に閉鎖ネットからデータが得られるようになってきているようだ。
●しかし、データを電磁波により「注入」する能力にはまだ限界があるようだ。特に射程距離と周波数帯に課題があり、複雑なデータ注入には時間が必要な模様
●元軍の情報関係者は「電磁波利用の技術自体は5年前のもので新しくはないが、その応用法が新しく、技術を使用するソフトが斬新である」と述べる一方で、「新技術使用に関する法整備が遅れている」と懸念している
●同空軍退役少将は「サイバー関連の全てがそうであるように、我々の法体系はサイバーに関して20年遅れの状態である」と嘆いている
●最近海軍トップのグリーナート大将が講演で指摘していた。「電磁波を理解しなければならない。サイバーとレーダーと通信を含めてだ。電磁波をコントロールできれば、戦いをコントロールできる」と
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ご専門の方には旧知の事実かもしれませんが、技術の進歩は恐ろしいものです。
イランの核施設の「閉じた」ネットワークにウイルスを忍び込ませたのは、恐らくUSBメモリーではないか・・・と言われていますが、将来は無人ステルス機からウイルスが「注入」されることになるのでしょうか
最近再び話題のパネッタ長官サイバー演説(10月11日)・・・攻撃元の特定に新技術か?
「サイバー真珠湾攻撃の防げ」→→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-12
サイバー戦に関する記事カテゴリーは
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1