失敗や攻撃に備え衛星の増加を

SheltonAFSPC2.jpg16日、米空軍宇宙コマンドシェルトン司令官は空軍協会の会議で講演し、宇宙アセットへの依存が高まる軍活動の現状から、より安定的な運用を確保するための施策について持論を展開しました。
宇宙アセットや宇宙ドメインの重要性を度々主張しながら、中身について最近触れていませんでしたので、「シェルトン節」をご紹介します
11月16日付のAF-Magazineより
ロス開催のGlobal Warfare Symposiumで
●米国の宇宙アセットへの極めて高い依存度を考えれば、衛星の増加やその抗たん性強化への投資を増加しなければならない。
●我々は余裕の無い「ジャスト・イン・タイム」で打ち上げ計画を立てており、打ち上げの失敗や攻撃や事故による衛星機能等の消失に備える能力に欠けている
米空軍は連続打ち上げ成功に慣れきってしまっているが、事故は避けられないことを肝に銘ずるべきである。
衛星体系の穴に耐えられない現状を踏まえ、隣人はもはや良き隣人とは限らない状況にも、適応して対処しなければならない
SheltonAFSPC.jpg衛星の多機能化を止め、戦術的なものと戦略的なものに小分けして衛星を小型化・多数化し敵により多くの目標を提供することを私は推奨したい。この小型化はトータルで経費の削減にもつながると考えている
●また民生用の衛星に軍用機能を共同搭載し、敵が攻撃しなければならない目標数を増やすアイディアにも惹かれている
●衛星が攻撃等で機能喪失した際に備え、代替衛星打ち上げの準備を常に準備しておくことは、危機状況下や打ち上げシステム全体から見ればストレスがかかりすぎることから、宇宙空間に多く代替が存在し生存性が高い状態が望ましい。抑止の観点からも。
運動エネルギーによる衛星攻撃は、米国のとるべき手段ではないと考えている。キネティックな攻撃は多くの「宇宙ごみ」を生み出し、米国の衛星運用を益々困難にするからである。
●2007年の中国による衛星兵器試験や、コスモス衛星とイリジウム衛星の衝突事案から、宇宙ごみ生産の問題は明らかである
SheltonSpaceGen.jpg57回の連続打ち上げを成功させている、我が国打ち上げ企業連合(United Launch Alliance)の打ち上げ能力は素晴らしい。しかし我々はコスト低減の努力をしなければならない
Space-X社のような新規参入により競争が加速され、打ち上げ費用低下につながることを希望する。しかし、他国の打ち上げ企業を含めてみても、複数打ち上げの契約を受託できる適切な企業が存在するかどうかは不確かである
●宇宙コマンドは優良な打ち上げ起業への参入許可手続きを迅速に行うつもりであり、競争によるかコスト低下効果が5割に及ぶことを期待している
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サイバー空間の重要性と共に、宇宙アセットの重要性も、まだまだ身にしみて感じていない状態にあると思います。
日本で語ってくれる方も少ないですし・・・
空軍協会のGlobal Warfare Symposiumからは、もう少し紹介すべき講演等が出てくるかもしれません。気が向いたらご紹介します
「前半宇宙優勢5つの鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-10
「後半宇宙優勢5つの鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-10-1
「韓国と宇宙監視協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-26
「豪州に宇宙監視装備を移設へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15
「宇宙ゴミ監視に新システム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-24
「NATO宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19

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