米空軍の人的状況と将来対策

JonesA1-3.jpg11月号のAF-MagazineがShaping the Future Force」との囲み記事を掲載し、予算削減の中で米空軍の人的戦力をどのように管理していくかの検討状況について紹介しています
9月に開催された空軍協会総会で、空軍参謀本部のジョーンズ人的戦力管理部長(中将:Darrell D. Jones)が語った内容を紹介する記事ですが、単純には割り切れない課題も多く、その苦悩が伺えます
ジョーンズ中将は空軍協会総会で・・・
米空軍は冷戦時代に50万人を超える人員を抱えていたことがあるが、現在は33万人レベルにある。過去20年間に約38%人員が削減されたことになるが、人的コストは23%上昇している。一人当たりの経費ではない。全体経費である
●普通の家庭でこのような数字がでれば、当然家計簿を確認すべきだとの話になる
JonesA1.jpg湾岸戦争前の段階では、現役兵士と民間部門との兵員給与格差は約15%あった。そして神のお陰で過去20年間にこの差は大きく縮まった。これこそが我々が(予算削減の中で)対処しなければならない分野である
予算の約29%を占める給与、諸手当、子育て支援、士気の維持施策にはあまり注目が集まっていないが、影響は免れない
●コスト削減の検討に当たっては、政策や戦略に基づき、「種もみ」まで削減して「空虚な軍」しないよう注意深く進めたい
●特に、空軍兵士の74%が34歳以下であることに注意を払っていく。これら比較的若い世代の嗜好や生活の質向上にあった優先順位で施策を考えたい
●全空軍を対象とした調査を元に、核となる優先プログラム、例えばフィットネス施設、子供ケア、青少年施策、図書館等に焦点を絞っていく
兵士の退職率は過去17年間で最低であり、空軍の兵士のバランスを保つためには「自ら意図しない」退職も考慮しなければならない。
●以後数年をかけ、まず自発的退職者を募り、次に退職優遇策付きで募り、そして最終段階で「自ら意図しない」退職を導入することになろう
JonesA1-2.jpg●この際は職種のバランスや空軍全体への影響を考えて施策を進める。もちろん4軍全てが共通の基準で行わなければならない部分は4軍が足並みをそろえる
前線部隊の支援スタッフ(support staffing and functions at field operating agencies)は統合や合理化を進めてきたが、これを継続する
●任務要求が拡大しているサイバーや無人機運用部門は、全体の縮小傾向の中でも拡大する
////////////////////////////////////////////
involuntarily separate some airmen」を訳して「自ら意図しない退職」としましたが、これが行えるクールな組織が米軍なのでしょう
大統領選挙後にこのような「人員削減施策」が、あちこちから表明されるのでしょう・・・厳しい国です。
「空軍を多様な視点で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-22-1
「米空軍の電子戦文化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-08
「米空軍ICBMは大丈夫か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16

タイトルとURLをコピーしました