10月24日、米国防省にも多数の人材を送り込んでいる有力シンクタンクCNAS(Center for a New American Security)が、米空軍横田基地を民間飛行場としても活用すべきと提言するレポート「Yokota: Civil-Military Use of U.S. Bases in Japan」を発表しました。
P.クローニンやP.ジアラなど、日本でも馴染みのメンバーが執筆者に名を連ねるレポートですが、石原慎太郎氏が孤軍奮闘で訴えてきた施策に思わぬ援軍が表れた形となりました。
ただCNASの主張には、横田基地の軍民共用化を契機に他の民間飛行場を緊急時軍用に使用したいとの狙いが込められており、オスプレイ導入だけで大騒ぎの日本にとっては、難しい課題を突き付けられた形となりました
また、中国の軍事脅威に対しResiliency(強靭さ・弾力性)を追求する必要のある日本にとって、軍事的合理性から見れば民間空港の軍事利用推進は必要な施策ですが、逆だけが進むと大変です。
30ページ弱のレポートですが、本日はサマリーの概要をご紹介します
CNASは横田基地の軍民共用を推奨し・・・
●米日両国は、横田空軍基地の態勢を維持しつつも、民間航空機の利用を強力に推進すべきである
●この施策推進により進むであろうインフラ開発は、軍民両方にとって利益であり、民間飛行場不足に悩む同盟国を助ける。また本施策の成功は、日本の他民間飛行場の米軍使用に道を開く可能性に繋がる
●この作戦基盤の分散アプローチは、現在の安全保障課題への対応にも適応しており、米日両国の利害にも一致する。またアジア太平洋地域の他基地の先駆者ともなりえる
●東日本大震災での共同対処や東シナ海での中国との緊張から、本施策推進の良いタイミングにあると考える
●昨年からの本施策に関する議論では、注意深く官民両用を進めれば、軍用面での管理を損なうことなく、本施策による空港インフラ増強により、米軍作戦能力の改善が見込まれることが明確になった
●横田基地で施策は、三沢空軍基地での官民両用の経験等を活用することにより達成できるだろう。民間航空機の乗り入れは、試行を経て段階的に進めることにより作戦への支障を極限出来る
●ここで重要なのは、横田飛行場を民間航空機に開放する合意の際には、合わせて、緊急軍事作戦時に他のいくつかの民用飛行場が利用可能になるような合意を行うことである
●米側は空港のインフラやアクセク整備で恩恵を受け、日本側は空港が増加して恩恵を受ける。普天間や沖縄米軍基地をめぐる民衆の怒りも、両国が恩恵を受ける横田基地の話題に置き換わるかもしれない
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レポート本文は
→http://www.cnas.org/files/documents/publications/CNAS_Yokota_Cronin.pdf
シンクタンクのレポートで「のろし」を揚げ、実際に横田軍民共用の提案が後ほど行われるのでしょうか?
米軍は「インフラやアクセス整備」で恩恵を受ける通りますが、何を期待しているのでしょうか? 周辺道路や燃料タンクや滑走路の整備でしょうか?
新手の日本資金導入戦略かも知れませんが、軍用機が民間飛行場に乗り入れる環境整備なら利点もあるでしょう。しかし、民→官乗り入れの一方通行で終わる懸念があることも忘れてはなりません
「良心的:CNAS米軍改革案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-27
「CNAS対中の日米同盟提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-10
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下段の過去記事は、本日紹介レポートと執筆陣がほぼ同じです
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