防衛省が編集協力している月刊誌「MAMOR」の9月号に、6月から初の民間出身防衛大臣に就任している森本敏大臣へのインタビュー記事が掲載されています。
森本氏は防衛大学校卒業後、航空自衛隊の航空機整備幹部、外務省出向(この間に防衛庁と揉めながらも退職して外務省へ。外務省では「宇宙人」と言われながら安全保障室長まで務め早期退職)、野村総研、拓大教授として勤務し、野田総理の依頼で大臣に就任したものです。
野田総理には2回断った
●野田総理には「防衛大臣はほかの政治家にお願いしていただけませんか。そんな大役を引き受ける器でも、政治家でもありません」と2度ほど申し上げた
●それでも総理から「あなたには自衛官としての経験だけでなく、外交官としての経験もある。しかも政策に精通している。そのノウハウを活用していただきたいと心に決めてお願いしている。ぜひ受けてほしい」と繰り返し言われました
●総理は仕事に信念を持って当たる政治家だと考えていたので、総理の決心を私一人の思いで変えることはできないとお引き受けしました
戦闘機整備の思い出
●宮崎の第5航空団と千歳の第2航空団で現場の整備を経験しました。宮崎で担当した機体はF-104で、ドイツなど世界中の国が運用に苦労し、事故も多数あった機体で、私自身も事故に遭遇して辛い思いをしました
●しかし、そのF-104の稼働率を上げて部隊に提供するかを考える業務の中で、航空自衛隊の実力は格段に向上しました。
●千歳ではそのF-104をF-4に更新する時期で苦労も多かったのですが、F-104と格闘した時代が背景にあってやりがいがありました。当時の思い出は尽きません
国家の防衛任務に対する理解が・・・
●日本の防衛に対する国民の気持ちは以前より高いと思います。しかしここで悩ましいのは、国の防衛という本来任務と、国内の災害派遣や様々な国際協力は少し違う点です
●災害派遣や人道支援、国際協力などは国民の皆様に広く理解いただいているところで心配はありません。
●ところが国家の防衛と言う任務については、同様の理解が得られているとは言い難いのが現状です。自衛隊はあらゆる犠牲を払っても自国の領土を守るという、極めて重大かつ深刻な事態での任務を本来任務として担っている集団であることをもっと発信していく必要がありましょう。
自衛隊員へのメッセージ
●様々な犠牲を払っても国の防衛のために働くぞという強い決意、決心を以て任務に邁進してもらえるような環境や体制を作るのが防衛大臣のもっとも重要な仕事の一つと言えます。
●隊員たちの「国を守る」という気持ちにいささかでも疑義が生じないよう、私がどのような努力をするか。これは口で言うのではなく、自らの姿勢で見せるべきだと思うので、更に義を尽くしていきたいと思います
///////////////////////////////////////////////
このインタビューは7月に行われたものと思いますが、尖閣が問題になった今でも、オスプレイ問題や普天間問題に関するマスコミの報道や一般的な反応を見ていると、「国家の防衛任務に対する理解が・・」との状態に変化はありません
仮に尖閣で軍事的な小競り合いがあったとしても、自衛隊の活動を縛る法制度や安全保障環境を知らないTV「コメンテーター」や「にわか専門家」が好き勝手に発言するのでしょうから・・・
「強い決意、決心を以て任務に邁進してもらえるような環境や体制を作るのが防衛大臣(首相も)のもっとも重要な仕事の一つ」であることを理解していない首相や防衛大臣が何代も続いていましたので、宜しくお願いしたいところです。
「人生の最後まで専門バカでありたい」というのが人生に対する基本的考え方だそうです。
「力みすぎ東アジア戦略概観」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-03
「3章中国東アジア戦略概観」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-03-1
「防衛白書官僚の心情代弁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-03-1
Twitterもよろしく→https://twitter.com/Mongoose2011