クリントン国務長官が既に、そして9月中旬にパネッタ長官が中国を訪問するようですが、軍事メディアは米国の祝祭日などもあり、未だ夏休みの「記事枯れ状態」ですので、本日は「小ネタ」2つでお茶を濁したいと思います。
単品では小ネタですが、それぞれに根が深く、今後の進展が注目される分野です
米イスラエル関係が悪化で演習縮小!?
(1日付「Defense News」)
●Time誌や1日付イスラエル紙が報ずるところによると、10月にイスラエル国内で計画されている米イスラエル共同演習「Austere Challenge 12」が、イラン政策を巡る両国関係の不協和音から大幅に削減される模様
●同誌は「公式には予算の制約で演習規模を縮小せざるを得ないと説明されているが、対イラン政策を巡るオバマ大統領とネタニアフ首相の間の対立、つまりイラン各施設へのイスラエルの空爆恫喝を巡る意見の対立と時期を同じくしている」と記述
●Time誌は「両国の信頼できる筋からの情報によれば、米軍のイスラエルへの派遣兵員数は2/3にが削減され、当初計画の5000人から1200人程度に。弾道ミサイル防衛用のパトリオットミサイルは装備が運び込まれるものの、操作する兵士が不十分な状況に」と紹介している
●同誌はまた「ミサイル防衛用のイージス艦も、当初の2隻派遣から1隻派遣に削減される」とレポートし、「イスラエル軍高官は、米国が我々に対して「信頼していない」と語るに等しいと状況を説明してくれた」とも記述している
●1日付のイスラエル紙は同国高官の発言として、イラン政策を巡る両国首脳の意見対立とは関係がないと報じているが・・・。
暗視装置輸出緩和を米企業が要請
(30日付「DODBuzz」)
●赤外線暗視装置の分野で米国は長く優位を保っており、戦場でもその優位性を大いに活用してきた。そこで米国防省はこの分野の輸出規制を厳しくしてきた。
●しかし米国の暗視装置をリードする有力3企業は、他国の企業も技術レベルを上げてきており、このままの厳しい輸出規制が続けば、民間分野での需要獲得競争で遅れをとると危機感を募らせ、規制緩和を要求している
●国務省と商務省が「輸出既製品リスト」を2重に管理しており、国防省高官はゲーツ前長官をはじめとしてこのリストの緩和や一本化、手続きの簡素化を要求してきている。背景には、国防予算が削減傾向にあり、軍需産業基盤維持が国内需要だけでは厳しくなっていることもある。
●暗視装置関連の要求をしている3社(Flir, Raytheon and DRS Technologies)は、軍用以外にも民生の警備監視カメラ等を製造販売しており、これら事業の拡大で軍需分野の縮小を補填しようとしているのだ。
///////////////////////////////////////////////////////
イランを巡る情勢がどうなっているのかフォローし切れていないのですが、シリア情勢が混迷を深める中、地域情勢の影響をまともに受けるイスラエルと距離のある米国との間で「危機感」の差が出た形でしょうか。
同時に、米大統領選挙が本格化する中で、イスラエルが「ユダヤ票」を盾に米国への攻勢を強めているのでしょう。
武器輸出に関しては、暗視装置は氷山の一角なのでしょう。日本も「武器輸出3原則の緩和」に満足せず、「一部規制」ぐらいまで自由化しないと・・
「対イラン政策と国際情勢」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-24-1
「イラン核施設完全破壊困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-02
「対イラン:イスラエルの動向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-12
「武器輸出3原則の偽善」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-2