哀愁の台湾F-16能力向上

Taiwan.jpg22日付「Defense News」は、2年間に及ぶ台湾空軍F-16関連議論の結果、7月13日に米空軍と台湾軍との間で台湾希望の最新型F-16C/D売却ではなく、台湾保有146機の初期型F-16A/B全てを能力向上する方式で合意したと報じています。経費は約3000億円とのこと。
台湾は当初、現有の56機のMirage 2000と45機のF-5 の後継として、66機のF-16C/D型を米国に要求していましたが中国の活発な反対活動等もあり、現有F-16A/B型の能力向上に落ち着きました。
能力向上の予定は・・・
●2016年から同時に24機を順次工場に搬入して能力向上を行う。足かけ5年で能力向上が完成するため、最初に完了する機体は2021年に部隊に提供され、最終的に完了するのは改修開始から12年後となる模様(ちょっとよく分からない部分もありますが・・・)
F-16Taiwan.jpg2020年までに56機のMirage 2000と45機のF-5は引退するが、これらの後継機はなく、台湾空軍の戦闘機数は現在の373機から272機に減少する。なお台湾はF-16以外に国産戦闘機IDFを126機を保有
●研究者の計算によれば、台湾は16機のF-16を要員訓練用に米国に常駐させているため、改修開始後常に24機が不在となれば、稼働率7割として、僅か73機しか運用可能なF-16を所持しないことになる。
台湾側の不満は・・・
●基本的に、改修部品がどの企業のどのパーツになるかは米空軍が決定する。例えば、搭載レーダーはノースロップグラマンとレイセオンで争っているが、米空軍は将来自国のF-16改修用レーダーを見据えて台湾用を選定している模様で、価格を下げさせる手段としても用いている。
●更にこのレーダー換装費用に関して、台湾側からの価格交渉は認めない規定になっている模様
●パーツの競争には上記2社の他にBAEも参加していたようであり、台湾関係者の中にはBAE部品の支持者も多くいたようである。しかしBAEは選定から漏れた(除外された)ようである。
米側は他にも種々努力していると主張
●ブッシュおよびオバマ政権下で、計約1兆5千億円の武器輸出を行ってきた。
●F-16C/D型は輸出できなかったが、AH-64 Apache攻撃ヘリ、対戦哨戒機P-3C、地対空ミサイルPAC-3等を提供してきた
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IDF-Taiwan.jpg東日本大震災の際、破格の義援金を送ってくれた台湾の防衛問題ですが、中国と天秤にかける米国の姿勢は「冷淡」です。
中国に「防御用の最低限兵器を供給している」と説明する為なのでしょうが、米軍需産業の餌食になりそうな台湾が可哀想です。かといって日本が売るモノもないし・・・
せめて気持ちだけでも台湾を応援したいモノです。
台湾関連の記事
「米は台湾に最新F-16売却するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-23
「米中軍事対話と台湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-11
「ミサイル1600発除去が条件」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-19
「台湾空軍の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-14

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