久々に次期爆撃機LRS-Bの話

CSBA LRS.jpgA2AD対処に関する米軍の最重要分野の一つが長距離突破型の偵察爆撃機(LRS-B: Long-Range Strike Bomber)です。新国防戦略でも、2013年度予算の中でも、しっかり生き残ってる重要開発モノです。
一時はCSBAのレポートをご紹介したり、空軍と統合参謀本部の対立をご紹介したり、予算不足で悩む空軍をご紹介したりと、かなり集中的にご紹介しましたが、最近は報道も高官の発言もないことから放置していました。反省も込め、久しぶりに小ネタですがご紹介します。
「次期爆撃機に有人型は不要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16-1
「序論:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-25
「本論1:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26
「本論2:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26-1
16日付「Defense News」記事は・・・
B-LRS.jpg●新国防戦略で重視されたアジア太平洋地域が心に止めているのがLRS-B長距離爆撃機である。
●具体的姿はほとんど明らかになっていないが、空軍は確立済みの技術を用いて開発し、従来の一から開発する芸術的なシステムからの脱皮を図るとしている。また、有人機のオプション(optionally manned)も考慮されている
●計画では、2020年代の半ばに運用を開始し、1機当たり$550 million(約440億円)の価格を予期している
記事で空軍調達部長デービス中将は
●長期間のテロとの戦いで余り注目してこなかった、厳しい環境下で戦うシステムや能力の必要性に注目して将来調達計画を議論し始めている。
●LRS-Bに関しては、既存の技術と言っても、F-22やF-35の為に開発された最新鋭の技術を機体デザインや装備品に投入し、最新でかつ開発リスクの低下を図っている
●どのエンジンを搭載するかはまだ決めていない
記事で航空専門家(Richard Aboulafia)は・・・
BWB.jpg●機体に投入される新技術として、より高々度をより高速で飛行するために「blended-wing body:翼胴体一体構造」や先進素材使用が考慮される可能性がある
●私個人は、まず素材分野の新技術(advanced materials)を第1に想定しているが、爆撃機に要求される多様な性能を追求するためある種の新形状が採用される可能性もある
●「blended wing」は超音速飛行に向いていないので上記のように考えた。B-2爆撃機は主にステルス性と航続距離を追求し、B-1爆撃機は速度と航続距離を主に追求した点も含め。
高速も、航続距離も、高々度飛行も、ステルス性も追求し、かつ有人オプションも追求するのであれば。
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「どのエンジンを搭載するかは決めていない」・・・強制削減等、各種不確定要素がある中ですから、今決めても将来どうなることやら・・
「前老齢爆撃機はあと30年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-05
「後老齢爆撃機はあと30年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-06
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ご参考まで:「blended-wing body:BWB」とは
翼と胴体を一体的に設計することで空気抵抗低減による揚抗比改善などを実現し、搭載量の増大や燃費の向上といった効果の達成を意図したデザイン。
航空機に生じる抗力を極力減らすため、機体を凹凸のない流線形とし、かつ表面積を減らすことが一般的方策。BWBはこれを追求する過程で生まれた形態
利 点
空気力学的効率の向上:抗力の低減に加え、翼のような胴体が有効な揚力を発生させるため、高い揚抗比。
騒音低減:突起物や表面積を減らし騒音を低減。
積載物配置の自由度向上:胴体が幅広いため、従来では困難な形状の積載物積載が可能。同クラスの航空機より内部空間が大きい。
構造重量低減:機体表面の広い領域で揚力を発生しており、翼のみに揚力が集中せず強度に余裕があるため、構造を簡略化でき、重量を低減可能。
欠 点
積載物への負担増:機体がロール(横転)したとき、機体の左右端に置かれた人や積載物が大きな力が作用。
胴体構造の耐圧性減少:胴体断面が楕円形であり、機内を与圧した場合に円形に比べて機体内外の圧力差による力に弱い。
翼型の様々な発展型
左から、①conventional airliner、②blended wing-body、③hybrid flying wing、④flying wing
4wing-typeJ.JPG
「もう爆撃機とは呼ばない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-26
「空軍協会の航空宇宙会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-16-1
「どんな兵器:Anti-Access対応」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04

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