「グアム島への中国人観光客のビザ無し入国許可も議論した」
18日と19日の2日間グアム島に滞在したカーター国防副長官は、グアム島への海兵隊受け入れに関しグアム知事やグアム選出議員等と協議を行い、当初より移転が小規模になったため施設配置の再検討が可能になり、再度環境影響調査が必要との認識を示した模様です。
副長官に同行する国防省関係者は、この調査により「主要施設の建設計画は数年遅れる」と同行記者に語っています。
また冒頭でご紹介した中国人観光客の件。明確な説明はありませんが、世界的不況で観光客の減少に悩むグアム島関係者は、友好国のみに米政府が認めている「90日以内の観光目的滞在にはビザ不要」待遇の中国人観光客への拡大を求めている模様です。観光業復活の起爆剤にしたいのでしょう。
しかし・・・対中国の軍事最前線が中国人観光客でにぎわう・・・・そんな日が来るのでしょうか???
20日、日本へ移動中に国防省関係者は
●司令部と実弾訓練場が島の正反対の場所にあると、島を縦断する交通量が増え、島民への影響が大きく好ましくない。一方で、航空部隊や水際訓練や射撃のない通常訓練場の位置は見直すつもりはない
●海兵隊航空施設はアンダーセン空軍基地の北エリアを、水際訓練は現海軍基地があるApra Harborで、そしてアンダーセン基地南に実弾射撃場をと考えている。
●ただし海兵隊の移転は、グアム島の軍関係の動きの一部に過ぎない。既にアンダーセン空軍基地やApra Harbor海軍基地では大規模な動きが行われている。グアム島は米国の最西端で、かつアジアに属しており、戦略的に特別の意味を有している
グアム島知事らは協議でおねだり
●グアムのCalvo知事とグアム選出のBordallo下院議員は、海兵隊移転に伴うグアムのインフラへの影響や負担増を懸念している。同時にグアム関係者は、州軍への予算や中国人観光客へのビザ無し来島許可についても議論に取り上げた。
●グアム関係者は、グアム島民は愛国者であり移転を指示するだろうが、不十分なインフラがをれを支えられるかに懸念を持っていると述べた。特に水資源、下水処理、電力供給、島民の部族の宗教的聖地との関わりが気になっている
●政府予算によって行われる港湾や道路の整備を、グアム関係者は肯定的に評価している
これらの懸念にカーター副長官は
●当初計画より小規模になった移転兵員数を基に、追加の環境影響調査を計画している。規模が減少して新たな候補地への移転も可能となるだろう。
●これらの追加調査により、主要な建設作業は数年(a couple of years)遅れるだろう
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「グアム島民は愛国者」を否定はしませんが、移転を受け入れる見返りに、いろいろな要求を突きつける当たりは「愛国者」も単純ではないことを感じさせます。
しかし、中国人観光客を積極的に呼び込みたいとの姿勢には、「なりふり構わず」の哀れさを感じます。
大挙して訪れる中国人観光客を世話する中国人多数がグアム島に住み着き、ゲットウを築き、グアム地方政府に食い込み、そして対中国の米軍事最前線基地が監視され、有事には・・・
「カーター副長官をご紹介」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-17
「グアム島の住民と対話も」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-28
「勝手に在日米軍再編を決めるな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-25
「テニアンは米軍代替基地」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-18
下の写真は20日、玄蕃外相と会談及び森本防衛相と食事会のカーター副長官です。
日本での発言をつまみ食いで取り上げると・・(22日に3本掲載されました)
●オスプレイは、日米がともに安全を確認するまで、日本では飛行させないことを日米間で合意した。日米が力を合わせて安全確認を行っていく。
●米国のアジア太平洋での「リバランス」に併せ、日本もまた戦略的シフトを始めている
●米政府は、私を国防省の「chief management officer」として新戦略DSG推進のためにアジアに派遣した
●(私が担当国防次官だった)3年前には言えなかったが、今なら言える。F-35計画は開発と大量生産に向けた軌道に乗りつつある。