空自パイロット:米F-16で養成中

9日付米空軍webサイトが、震災で航空機を失い、日本国内で訓練が出来ない航空自衛隊のパイロット3名が、アリゾナ州空軍のF-16で訓練に取り組む様子を伝えています。
アリゾナ発の米空軍web記事は・・
ArizJASDFohta.jpg航空自衛隊は震災で戦闘機不足になっており、購入予定のF-35の準備も兼ね、日本の保有するF-2によく似たF-16での訓練を米国で行うことを選択した
●本年2月、人的計画部長であるスギムラ大佐などがアリゾナ州のTUCSON基地を訪れ、外国操縦者の養成に当たっている同州空軍の教育施設、訓練内容、生活環境などを詳細に確認し、そして最終的な許可を与えた
●教育の補佐を担当する軍曹は、「一つの国が生徒の教育の細部にまで目を配っていることに気づき、すごく前向きな気分になれた。彼らは滞在中に訓練計画全てに目を通した」と振り返った
●アリゾナ州空軍第162戦闘航空団では、日本の他に、ポーランド、ノルウェー、シンガポール、デンマーク、オランダからの学生が訓練を受けている
●日本からは3名の中尉が操縦訓練に取り組んでいる。彼らが終了後、今秋には別の生徒がやってくる
担当教官のトーレス少佐は「日本の学生には、誇りと敬意に満ちた態度と軍人としての躾が明確に見て取れる。3人とも学び進歩しようとの強い意欲がある」と評価している。
ArizJASDFueda.jpgワラビ出身のオオタ・カズヒロ中尉は「この戦闘機で訓練できる人間は少なく、我々はとても恵まれている」と述べた。良好な天候と広大な訓練空間について大阪出身のアリガ・ノブユキ中尉は「より高度な訓練と飛行経験が積める」と評価している
広島出身のオオタ・ケイスケ中尉は「米国の教官パイロットは経験豊富。彼らは実戦を知っている」と語り、平均飛行時間2400時間の教官達に敬意を表した。
●オオタ中尉は「ここで訓練できる機会を得たことが嬉しい。我々はこの地で米国式の操縦を学んでいるが、この経験はいつの日か日米同盟下の環境で戦う際に生かされるだろう」と語った
///////////////////////////////////////////////
この記事に登場する人達に何ら落ち度はありません。むしろ懸命に自らの技量向上に努めることで職責を果たし、その結果として同盟関係にも寄与しようとする尊い姿と見て良いでしょう。
ArizJASDFueda2.jpgしかし、もう少し大きな視点で見てみると、大きな戦略の誤りが見て取れます。若い3名の努力やそれを支える先輩大佐の配慮に「戦術」の誤りは無いしょうが、「戦略」の誤りは、戦術では補えません。
脅威の変化に目を背け、「パブロフの犬」的な条件反射で実質戦闘機にのみ費やされる膨大な防衛費・・・
その典型が昨年9月の「戦闘機6機の修理に800億円」発表報道です
●防衛省は大震災の津波で被災した松島基地のF-2戦闘機18機のうち12機については修理は困難と判断した。
残り6機は、購入費よりも高い計約800億円をかけて修理する。なお、防衛省は修理できるかどうか見極めるため、136億円の予算を投じて分解調査を進めていた。
●なお、F-2戦闘機は1機約120億円と言われており、1機当たりの修理費約130億円はその額を上回る
松島基地で戦闘機が津波にやられたことを攻めるつもりは毛頭ありません。
しかし、震災半年のどさくさに紛れ、この修理費・・この分解調査費・・。この感覚がある限り、そのF-35戦闘機の必要性、効果、購入数、戦闘機全体の所要数、部隊数等々、全てがうやむやの内に膨大な血税が無駄につぎ込まれることになります
記事に描かれた3名も、いつかその事に気づき、自ら苦しむことになるのでしょう・・。本当に不幸だと思います。戦略の誤りは戦術で補えませんから・・。
「英2020年までに戦闘機半減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「概要海空軍トップのASB論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19

タイトルとURLをコピーしました