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本日は書籍のご紹介です。
2009年に英語版が出版されるや欧米でベストセラーになり、世界中の言語で翻訳版が出版、韓国語や中国語でも版を重ねる中、主要国では日本が最後に出版(本年5月17日)となった本です。
原題は「Start-up Nation: The Story of Israel’s Economic Miracle」ですが、日本語版の題名は「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?」となっています。
「Start-up」、つまり起業精神がなぜイスラエルで旺盛なのかを解き明かす本です。世界的不況の中でも経済成長を続けるイスラエル。世界的IT企業が買収したがるスタートアップ企業を輩出し、研究開発拠点や先進的な生産拠点が置かれるのはなぜか?
建国の経緯、軍隊のあり方、産業政策などを取材と調査・分析により生き生きと描きだしています。
まんぐーすにとっては、ここ数年で最も刺激的だった本です。
梅雨で外出がおっくうになるこの季節・・・翻訳物につきものの読みにくさは皆無ですので、ごろ寝しながら知的刺激を味わうのも一案かも。
出版元ダイヤモンド社の編集者は・・・
●イスラエル、と聞いてみなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか? 「ユダヤ人」「パレスチナ問題」「アラブ世界との対立」といった言葉が断片的に出てくる程度では?
●かくいう私もその程度の知識しかありませんでしたが、原書Start-up Nationをご紹介いただいて一読すると、驚きの連続でした。
●今、私たちが日常生活で恩恵を受けているパソコンやスマートフォンなどの重要な技術の多くはイスラエル発であること
●インテル、シスコ、マイクロソフト、アップル等のIT企業が多くのイスラエルのスタートアップ企業を買収し拠点を置いていること
●資源がなく乾燥地帯にあり敵国に囲まれているという不利な条件を逆にバネにして革新的な技術を生み出していること等々
●ハイテク起業大国イスラエルという全く新しい姿を描写。かつてアメリカのシリコンバレーが起業の地として注目されたように、いまやイスラエルが世界のハイテク企業にとって欠かせない拠点となりつつあるようです。
●日本はイスラエルとは対極にあるように見えますが、人的資源以外の資源がない小国だという点は共通です。「失われた20年」から脱却するバネを見出すために本書が読まれることを切に願います。
驚きのイスラエル軍の内情も描写
(企業精神の大きな源泉として説明)
●世界の軍隊にある階級社会とは大きく異なるイスラエル軍。全員が階級関係なく意見を出し、部下が合議で指揮官をボイコットすることも頻繁に。
●徴兵制で、ほぼ全ての国民が軍隊に所属してネットワークを構築。優秀な人材には軍内で超エリート教育を行い、除隊後社会に貢献
●例として米空軍とイスラエル空軍の作戦思想の違いを具体例で説明。米軍が完全分業制で完全準備なら、イスラエル軍は個々が多機能で極めて柔軟出たとこ勝負
既に多数の書評や感想がアップされています
●本のタイトルから予測が出来なかった、電気自動車をめぐる話にはじまり、ネット界のスタンダードになりつつあるPaypal、そしてインテルの革新的な技術開発、それらに大きな関わりを持つイスラエルの起業家のお話。
●ひとり当たりベンチャー投資額が米国の2.5倍、ヨーロッパの30倍。人口1844人につき創業1社という旺盛な起業意欲はどこから湧いてくるのか? また人口710万人、四国ほどの面積、乾燥地帯で資源に乏しい国が、シリコンバレーさながらのハイテククラスターを持つまでになった要因を膨大な取材を元に紹介
●日本では行き詰まっているイノベーションを淡々とこなし、民族性の違いはあれど上下や過去に捕らわれない国の紹介
●伝説の投資家ウォーレン・バフェットが、自らに長年課してきた禁を破って初めて投資した外国企業がイスラエル企業だった。
批判的な感想には・・・
●この本は例えて言うならばイスラエルに投資を呼び込むためのテレビ通販番組。繰り返し繰り返し耳にタコができる程イスラエルが投資先として如何に魅力的かを説いている。そう、これこそがユダヤ的であり彼らの本質である。多くの日本人にはウンザリさせられる内容とも言える。
●超肉食型イスラエルの貪欲な起業指向社会の様子を描いているが、一般に草食型の日本人はうんざりさせられ、とってもまねできないとの感想で終わる話
著者2名は
ダン・セノール(Dan Senor)→外交問題評議会(CFR)中東研究グループの訪問上席研究員。アメリカ政府の上級外交政策顧問として、中東の政治・産業を分析、研究。
シャウル・シンゲル(Saul Singer)→エルサレム・ポスト紙のコラムニスト、元編集者。米議会で下院外交問題委員会と上院銀行委員会の顧問
Part1 〝なせばなる〟の小さな国
第1章 粘り腰
第2章 戦場の起業家
Part2 イノベーションの文化の種をまく
第3章 〝情報源〟を自らつくる人たち
第4章 ビジネススクールより強い絆 ── 予備役
第5章 秩序が混乱に出会うところ
Part3 奇跡の経済成長のはじまり
第6章 うまくいった産業政策
第7章 移民 ── グーグルの人々の挑戦
第8章 ディアスポラ ── 航空機を盗む
第9章 バフェットのテスト ── 投資リスクをどう考えるか
第10章 ヨズマ ── 投資家と起業家の仲介役
Part4 〝動機こそが武器〟の国
第11章 ロケットの先端部から湯沸器まで
第12章 シャイフのジレンマ ── アラブ世界の起業家精神
第13章 経済的奇跡に対する脅威
終章 ── ハイテクを育てる農民
価格 2100円
単行本(ソフトカバー): 356ページ
ISBN-10: 4478017549 ISBN-13: 978-4478017548
書籍のご紹介記事
「証明完了ポアンカレ予想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-24
「長谷部誠:心を整える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-01
「究極のインテリジェンス教科書」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-22
「婚活したらすごかった」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-30
「51歳の左遷から始まった」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-22
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米海空軍トップが連名でAir-Sea Battleやるぞ宣言!
「概要海空軍トップのASB論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
上記論文のキーワード
「Networked, Integrated Attack-in-Depth 3D」や海空融合作戦例を解説
「抄訳海空軍トップのAS-Battle」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19