勝手に在日米軍再編を決めるな!

JASBC.jpg日米両政府は25日午後に予定していた在日米軍再編計画見直しの中間報告となる共同文書の公表を見送ることを決めた。
これに関し、田中直紀防衛相は記者団に米側の事情と聞いている。29日の首相訪米前には共同報告できる。内容に変更はないと理解している」と述べた。
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議会に相談無く、勝手に在日米軍の再編を決めるな!
LevinOkinawa.jpg24日、上院軍事委員会の重鎮3人(お馴染みマケイン、レビン、ウェブ議員)が連名でパネッタ国防長官にレターを送り、「強調して置くが、行政の監視と予算の配分を行う議会のサポート無しに、如何なる米軍再配置計画も最終決定とはなり得ない」と釘を刺しています。
この米軍事に関する大御所議員3名は、昨年5月にもパネッタ長官に書簡を送り「莫大な経費が必要で、地元の反対も強い、普天間海兵隊の辺野古移転やグアム移転は再考し、嘉手納基地への統合も検討せよ」との提言を行っています
まんぐーすは、至極まっとうで、実現可能性と予算状況を考慮した実務家らしい案だと思いますが、日米両国政府は全く無視(本心はともかく)でした。
「レビン提言とAir-Sea Battle」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-14-1
今回のレターでは(DODBuzz24日付)・・・
McCain2.jpg●我々は、野田首相の訪米に先立ち、米国と日本政府が4月25日に在沖縄米軍に関する発表を準備していると聞いている。
●しかし強調して置くが、行政の監視と予算の配分を行う議会のサポート無しに、如何なる米軍再配置計画も最終決定とはなり得ない(時事通信訳:政府の監督と予算承認に責任を有する議会の支持を得られるまで、基地再編に関連するいかなる新たな提案も最終決定事項と考えてはならない)
我々は本件について強い関心も持っており、法律の規定によりアジア太平洋地域の米軍配置に関する独立検討レポートを、国防長官のレビューも経由して、本年6月28日までに受け取ることとなっている
●また別の既定により、グアムへの予算支出については種々の条件を満たさないと認めないこととなっている
WebbOkinawa.jpg●伝え聞く今般の発表に関し、我々は多くの疑問を持っている。我々は、今時の発表が当地域のおける作戦計画と如何なる関係を持つものか、また海兵隊の計画や米空軍部隊の配置とどのように関連している等々に関し、更なる情報の提供を要求する
●同時に我々は、検討されている計画に関する確たる経費見積もりが無いことを、引き続き強く懸念している。この必要な見積もりには、兵站面からの分析や環境影響調査の結果も考慮されるべきであるが。
●更に、最近ウェブ議員が沖縄を訪問した際、これらの疑問に対する米政府関係者の回答が期待を裏切るものであったことも言い添えておきたい。
●このような理由から、重要な課題に関する如何なる(25日の)発表も、原則的な内容を超える発表は現時点で時期尚早であり、この重要な日米同盟にさらなる困難をもたらしかねない。
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ちなみに前回の3議員からのレター概要は
「レビン提言とAir-Sea Battle」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-14-1
レビン議員が、日米の厳しい財政情勢、沖縄やグアムの政治情勢、日本の大震災をあげ、マケイン議員は同盟関係がこの転換点で重要な点を再確認しています。
そしてウェッブ上院議員の次の一文・・・
我が国は東アジアにおける軍事的役割の再定義に関し非常に重大なタイミングを迎えている。歴史上のこの時、我々は明確にドクトリンを策定し、本地域、特に韓国、日本、グアムにおける戦力構成の再編を行うよう求められている。我々の関係成功は、韓国と日本との継続的で緊密な同盟維持と前方展開兵力によって保障される。
次に提言として以下の3点が・・・
kadenaRWY.jpg●韓国駐留米軍の再編計画を停止し、米軍人家族の韓国への移動増加を止めよ
海兵隊のグアム移転計画を再考し、つまりグアムに恒久的な司令部を置きつつも、グアム以外を基盤とする海兵隊部隊をローテンションで配置する。グアム島以外の訓練場確保を考慮せよ
●普天間の嘉手納移転の実行可能性を検討し、多額の経費が必要な辺野古沖案を止めよ。同時に現在嘉手納に配置の空軍戦力の一部を、グアムや日本の他の場所に分散移転させよ
各3点に関するまんぐーすの解釈です
●韓国に関しては、現在の在韓米軍の地理的集約再編案は戦力の脆弱性を増すだけだからだめ家族を呼び寄せるのも危険だし、有事に待避させるのが大変。家族用住宅建設の大プロジェクトも予算上困難
海兵隊グアム移転は、財政上+グアム島民の反対状況から要再考。また有事弾道中国ミサイルの攻撃を受けるグアムに海兵隊を置くのは、緊急展開を制約される恐れがあり再考すべき
費用と政治情勢から嘉手納移転ではどうか。一方で嘉手納の空軍戦力は地上でやられる可能性が高いので、嘉手納から一部を移転させたい
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AFM1012.jpg米国内の強力なシビリアンコントロールで米空軍嘉手納基地への海兵隊受け入れを了解させ、グアム移転や辺野古への投資を節約し、ついでに周辺シロアリに落ちる「麻薬」も減らし海兵隊のプレゼンスも維持する・・。米議会の重鎮3名は日本にとっての救世主だと思うのですが・・・。
注意すべきは、3名が前回のレターで「嘉手納空軍戦力のグアム移転」を併せて提案していた点です。中国の脅威から遠ざかりたい思いが率直に出た提案ですが、日本はその意味や背景を素直に評価すべきでしょう
「Air-Sea Battleの状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12
「対中国で北東→南東アジア1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-03-1
「対中国で北東→南東アジア2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-04
「久々にAir-Sea Battle」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16-1
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

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