「露の将来にとって今後2~3年は極めて重要で興味深い」
4日、国防省ロシア政策担当が研究者グループに対露関係についてブリーフィングを行い、少しでも進展のある部分とそうでない部分について語っています。
国防省の次官補代理(deputy assistant secretary)の女性ですが、過去CSISやハーバードで研究や教鞭、議会での証言や出版物も数多く、現在もCFRやAtlantic Councilにも籍を置き、メディアでもお馴染みの「役人は仮の姿」のような(美人)ロシア専門家です。
Celeste A. Wallander女史曰く
●ロシアとの戦略関係をリセットする試みが徐々に成果を生みつつある。リセット戦略とは、露と協力できる分野や米国の国益となる部分は協力し、両政府の同意できない分野では明確に正直に意思疎通を図る事を指す。
●(最近の)米露間で幾らかの重要な進展のあった分野は・・・
—New START核兵器削減条約の実行
—イランに関する合意に向かいつつある
—NATOのアフガン任務への幾つかの協力取り付け
—米露及びNATO露間の国防安保協力の強化
●関係の良くない分野(don’t see eye to eye)
★シリア問題への対応
—オバマ大統領と露大統領は、先のソウルでの会談でシリアでの暴力を終了させねばならない点で一致
—意見が割れているのは、シリアのアサド体制に対する直接行動を行うかどうか、いつ行うかに関して。
★クルジア問題
—米国は、ロシアとグルジア間の領土問題を認識しつつも、ロシアがグルジアの南オセチア地域を占領していると見なしている。
—ロシアとグルジアはジュネーブで定期協議を行っており、米はこの協議をリセット戦略の一環として支援している。米ロ間に同意が無くても、透明性確保の為の一歩である
★欧州へのBMD配備問題
—今後10年で、イランが「小型ながら直接の核ミサイル脅威となる」との見積もりがある。
—である。弾道ミサイルるから欧州諸国や在欧米軍を防護するため、陸海上にBMDシステムを段階配備(Phased Approach)する計画がある。ロシアへの脅威は何もない計画
—米は露に対し、BMDシステム計画や実行に参加するよう働きかけているが、進展がない。しかし米国は他の課題と合わせ、露との協力関係を模索していく。
Wallander次官補代理コメント
●不同意点もあるが、過去数年間に比べれば確実により良い状態にある。以前は共に話すのではなく、それぞれ双方について他人に話していたのだから。
●先の大統領選挙で見られたロシア国民のデモ行為は、長期的視点でこのリセット戦略の可能性を示した。米国の戦略は、豊かな安全で近代的な軍を持つロシアが、地域の安定に寄与し、完全に民主的な政府に移行することである。
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Wallander次官補代理のご経歴はこちら。。。
このような専門家を、脈々と育て、国政に活用し、後進の育成にも当たらせる・・・。このような米国の仕組みが羨ましいです。
「ロシア社会の停滞と憂鬱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-15
「ロシアと露軍演習を斬る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-08-1
「露の北方領土への姿勢を斬る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-28