少し気力萎え気味なのでサッカーの話題を
自動車のHONDAが発行している交通安全情報紙「Si」の2月・3月号に、ホンダの伊東孝紳社長とサッカーの岡田武史監督の対談が掲載されています。
16歳の時に小遣いを貯金してホンダの原付CB50を初めて買ったという岡田監督。2輪免許取得チャンスを狙っているとのことですが、中国プロチームの監督就任で「おあずけ」になったとのこと。
対談は伊藤社長が質問し、岡田監督が答える形で進みます。
Q:なぜ中国を?、何が岡田さんを?
A:バルセロナのサッカーが衝撃を・・
●サッカーの面ではJリーグで優勝したし、W杯へも行きました。ある程度の経験と実績も積んで、「サッカーは、こうなったら、こうなるだろう」と、理解した気になっていました。
●そんな時、昨年、テレビの仕事でスペインに行って、レアル・マドリード対バルセロナの試合を解説する機会があり、そこで、私の発想を覆すようなサッカーをバルセロナというチームが見せてくれたのです。
●バルセロナのグアルディオラ監督のサッカーが私には理解できませんでしたし、衝撃を受けました。それに気づいた時に、まだ自分が知らない山が見えた気がしたのです。
(注:昨年12月10日の試合で、1対1の膠着の中、バルセロナ監督のシステム変更により試合が動き、3対1でバルセロナが勝利)
A:そんな時中国からのオファーが・・・
●ちょうどその時に、たまたま中国からオファーがきました。中国がこれから世界のキーを握る国になるのは間違いありません。その中国をマスコミや他人の話を聞いてではなく、自分の肌で感じてみたいという衝動にかられました。
●もう1つ、日本や中国が含まれる東アジアの中で草の根の小さな絆をつくっておけば、それが国家という枠では解決できない問題に対して、何かの役に立つのではないかと感じました。そういう自分の直感も含めて、「中国に行ってみよう」と決断したわけです。
Q:世界の中へ日本が飛び込んでいく時・・・
A:自分の責任でリスクを取らないと・・・
●今の選手は言われたことはきちんとやるので、ある程度までは強いチームをつくることができますが、そこから先の一線はなかなか越えてくれません。
●例えば守備の時、「一人はボールのところへ、もう一人はカバーに回れ」と指示を出したとします。でも、明らかに敵がもたついていたら、指示通りでなくても二人でボールを取りにいくべきです。ところが日本の選手は、「監督の指示だから、動かなかった」と言うのです。
●つまり、自分の判断と責任でリスクを冒さない。「取られていいから勝負しろ」という保証を欲しがるのです。サッカーの喜びというのは、自分の責任でリスクを冒すことなのに、どうしても選手は自主的に動こうとはしません。
A:Educationの語源は「引き出す」こと
●選手の判断で動けるチームにしようと試行錯誤の頃、ある人から「エデュケーション(教育)の語源は、エデュカーレというラテン語で『引き出す』という意味です」と教えられました。
●それまで私は、指導とは「空のコップに入れこと」だと思っていましたが、実は「コップの中のものを引き出してやること」だった。以後、指導者の強さを前面に出すことを控えるように。
●試合のビデオを選手に見せる時、「ここはパスではなく、ドリブルを選択したほうがいい」という場面でも、そうは指摘しません。中盤で他の選手がドリブルしている場面を入れておいて、「おっ、いいドリブルだ」と、私が一言つぶやくことで、選手は『あ、ドリブルしてもいいんだ』ということに気づき、状況に応じて対応できるようになるのです。
A:南アW杯以後、日本サッカーは
●南アW杯以後1年で、日本サッカーは劇的に変化。海外のチームとの試合でも、完全に臆することがなくなりましたし、アジアでなら「自分たちが負けるわけがない」という意識を持てるように。
●もう1段階上がるためには、強い相手と戦う必要が。欧州の国が強いのは、欧州選手権や、W杯予選で、常に強豪国と真剣勝負をしているからです。
●日本代表の場合「日本はアジアで1番だからいい」と、みんな楽観していますが、アジア全体が強くならないといけません。それにはアジアの公式戦をもっとレベルの高いものにするしかないのです。特に中国などがある程度力をつけてこないと。私が今回、中国に行くのは、そういう意味もあります。
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岡田監督は、中国スーパーリーグの杭州緑城足球倶楽部を率い、日本で合宿を行っています。予想していたよりも、真摯にサッカーに取り組む中国の選手に少々驚いたと岡田監督。こんな草の根が成果を生むことを期待しつつ・・・。
しかし・・・岡田監督に衝撃を与えたバルセロナの試合を見てみたいですね。グアルディオラ監督はやはりすごい監督なんですねぇ・・・
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