14日から19日にかけ、シンガポール航空ショーが開催されます。世界の3大航空ショウに成長したこのイベントは、世界経済に陰が差し込む中でも勢いを増しているようです。
9日付「Defense-News」記事からご紹介します
エアショーの概要等
●今年のエアショーは過去最大の規模。50ヶ国以上から約900企業が参加出品予定。22ヶ国が専用パビリオンを準備し、世界の航空産業トップ100社の中で59社が出品予定
●警備上の理由から参加者については細部非公表だが、昨年度は80ヶ国から260余りの政府関係代表団が参加し、133ヶ国から4.4万人の企業関係者が集まった
●本年の展示では地上装備品と無人機システムに焦点を当てたパビリオンが特別に2つ設けられ、セミナーとデモが集中して行われる
●中国企業の力の入れ方が目立っており、各社の社長級が自身でプレゼンを行う計画が汲まれている
●航空ショーに合わせ、航空関係業界リーダーサミットやアジア太平洋安全保障会議が開催される。
このようにエアショーが盛況なのは、欧米に比べてアジア諸国の経済がまだ好調であり、航空機関連の需要に伸びが期待できるからです。
具体的に戦闘機関連事業の視点からアジア市場を見てみると・・・
アジア諸国の戦闘機選定
●日本はF-4EJ改の後継にF-35を42機購入を決定し、将来的にはF-15J/DJの後継としても100から150機のF-35を購入する事になろう
●韓国は現在FX-3戦闘機の選定作業を実施中で、本年10月にF-35、F-15SE及びTyphoonの中から40から60機の購入を決定する予定
●シンガポールはF-35開発の「Security Cooperative Participant member」であるが、政府関係者は2010年代に購入を判断する予定はないとしている
●豪はF-35共同開発国(Level 2 participant)として参画し、100機の購入を考慮していたが、開発過程のトラブルを見て再検討中である
●マレーシアはMIG-29の後継に、Saab Gripen, Typhoon及びSuper Hornetを検討しており、2013年以降に決定予定
●インドは1月31日、ラファール約120機の購入を決定。最後まで争ったTyphoonは敗れる。
戦闘機のアップグレード
●韓国保有の135機のKF-16C/D Block 52、及び台湾保有の146機のF-16A/B Block 20に対し、ロッキードとBAE社がレーダー等アビオニクスの能力向上受注を狙っている。
●シンガポールも同様の改修を考慮中で、韓国と台湾の状況を見守っている
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同エアショーのwebサイトは
→http://www.singaporeairshow.com/
記事は、Eurofighter(Typhoon)とBoeing(F-15とF-18)が、日本やインドに続き韓国やマレーシアで破れれば、国際市場における両社の機体が地位を失うと懸念しています。
シンガポールは、「明るく豊かな北朝鮮」と呼ばれるほど国の力が強く、国民への統制が厳しい国ですが、国主導で大胆な資源投資の集中や規則の変更が可能なため、動きの速い国際社会への対応には優れています。