13日、2013年度予算案が正式に提出されるようですが、8日シンクタンクCSBAの理事長と研究者が、国防省が現在想定している$487 billion以上の削減要求が来るのはほぼ避けられないから、ちゃんと検討しておかないと過去の失敗を繰り返すぞ、と警告しています
具体的には、国防省が今想定しているのは今後10年で$487 billion削減ですが、「sequestration」と呼ばれる強制措置が2013年1月に発動され、$1000 billion削減に対応しなければ成らないことは不可避との認識を早く持て、と言っています。
Todd Harrison研究員は・・・
●更なる削減への対応策を含んでいないことが、新国防戦略の欠陥である。朝鮮、ベトナム、冷戦後の国防費削減を見ても、国防省が想定の範囲で収まるとは考えにくい
●国防省は更なる削減に備え、適応可能で柔軟でなければならない。でないと予測不可能な緊急事態に何の準備もなく臨むリスクを冒すことになる。
●昨年11月、議員12名から成るsupercommitteeが対応案をまとめられなかった段階でチャンスは無くなった。今後上院で60名の賛成を確保し、更に両院で様々な修正提案を通すことは極めて複雑な過程を必要とするからである。容易な修正であれば、既にsupercommitteeが出来ていたはず。
●冷戦末期の予算削減は、ソ連崩壊以前の1986年から始まった。戦略環境が大きく改善される以前から国防予算削減が開始されている。
●今回も国防省は、必ずしも戦略環境の変化が引き金ではない、長期にわたる国防費削減に備えなければならないのだ。
Krepinevich理事長は・・・
●国防省関係者は、来年1月発動の強制削減に対する対処計画を持っていないと言っているが、これは大きな過ちである
●私は1986年の場面を鮮明に思い出す。冷戦末期に国防費削減議論が起こった時、削減したら大変だと叫ぶだけで具体的案を策定していなかった当時の将軍達は、議会での投票が間近になって慌てて策を練ったが既に遅く、案を説明に言った時は遅く、議会の誰も話に乗れるタイミングでは既になかったのだ。
●当時ペンタゴンは、影響の少ない削減案策定に関し議会への協力を拒否した。手の内を知られることで、予算が大幅に削減される恐れを感じたからだ。
●結果、予算削減影響の少ない分野などについて国防省側からインプットが殆どないままに削減が決定された。
●私がパネッタ長官であれば、少人数の検討チームを作り、他言無用で検討させる。少人数の方が良い結果が出ることが多いからだ。しかし長官にその気は無いようだ。
●また、国防省の現在の予算削減プランは、政府の負債削減に余り貢献していない。
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これだけ国防省の対応を批判するとなると、最近CSBAと国防省の関係は余り円滑でないのかも知れません。ゲーツ前長官お気に入りだったCSBAですが、貢献が不十分との表現は、ゲーツ氏の逆鱗に触れそうな言い方です
現在国防省が想定の倍以上となる$1000 billion削減は、年率で10%以上の削減を強制することになるようですが、具体的にどのような影響を与えるのか・・・。
2013年度予算案に関連する今後5年間の削減案は、余り当てにならないようですね。