過去10年で最大:統合で多国籍の着上陸演習
米海軍と海兵隊は、米東海岸で1月30日から2月12日までの間、過去10年で最大の共同着上陸演習:Bold Alligator12を行っています。
中程度の脅威下での拒否戦略対処を想定して海兵旅団が急襲着上陸を行う演習で、「湾岸地域を想定した演習では」との質問が記者から出たような設定になっています。もちろん両軍の首脳は「対イラン想定ではない」と説明しつつ、「シナリオに最近の一般的な状況を反映させている」と記者に回答しています
演習には空軍は参加していませんが、拒否戦略対処を念頭に置いたAir-Sea Battle実験演習の性格も帯びています。両軍首脳は、2月末までに本演習の教訓を整理して諸計画やコンセプト作成に反映させると述べています。
主要な参加部隊は・・
●エンタープライズ空母機動部隊や第2遠征攻撃群等
●海兵隊第2遠征旅団やIwo Jima即応着上陸群等
●米海軍遠征戦闘コマンド
仮想的の脅威想定とは・・
●中程度の敵戦力を想定する。つまり中規模の軍で中程度の能力を保有し、陸上や海上から我の接近を拒否し上陸を阻止しようとする相手である。
●地対艦巡航ミサイルや多数の小型船舶による攻撃、更に識別の困難な非対称脅威を想定する
演習のハイライトは3つ
●ノースカロライナ州でのamphibious assault演習
●バージニア州でのaerial assault演習
●フロリダ州でのamphibious raid演習
他国からの参加やオブザーバーは
●豪、カナダ、フランス、イタリア、オランダ、ニュージーランド、スペイン、英国
●細部は不明ながら、海、陸、航空戦力の参加又はオブザーバー参加
海軍代表のハーベイ大将(John C. Harvey Jr)は
●着上陸部隊は、海上戦力プロジェクションにおける極めて重要な部門であり、我の戦力が限られた場面で活躍が期待されている。従って我々の支援任務も優先度が高い
●なぜならこの作戦は費用対効果が高く、多様な分野での目的達成が可能だからである
●海軍にとっては、海兵隊が着上陸に際しどのような位置取りでどのような行動を行うかを学ぶ機会である。一方海兵隊にとっては、海軍がどのような位置で作戦して海兵隊を支援するか等を学ぶ絶好の機会である
海兵隊のHejlik中将(Dennis J. Hejlik)は
●現在の国際情勢下、海軍と海兵隊は引き続き、相当な規模の陸上部隊を必要な地域に接近させ、送り込み、沿岸地域を確保できる態勢でなければならない
●我々はこのような作戦を実施出来るよう求められており、通常行動単位であるユニットレベル以上の旅団レベルで可能な体制でなければならない
●演習参加部隊が直面する状況の中で複数の任務にどう対応するか、特に限られた戦力をどう分配して使用するかを各指揮官の問うことになろう
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10年ぶりと言うことは、911事案以降、海軍と海兵隊は本格的な海からの侵攻を訓練していなかったと言うことになります。
10年前に少尉で入隊した士官が、そろそろ少佐になる頃ですが、アフガンやイラクでの活動で育った彼らに海から進出のイロハを教える演習でしょう。だから中程度の脅威なのでしょうか。
船酔いの克服から入るんでしょう・・・
中程度の脅威でもかなりの教訓が得られると思うので、早く空軍とAir-Sea Battleをまとめて欲しいと思います。
「ASBattleを議会に報告せよ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-07
「ASBattle検討室はよい話?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10-1
「Air-Sea Battleに波風の年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-04
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1