17日、米国防省研究開発担当のシャファー副次官が軍需産業団体の会合で講演し、厳しい予算状況の中で産業基盤を維持するため、かつて「X-○○」のような呼称で実施していた「プロトタイプ」試作を導入する考えを表明しています。17日付「Defense News」記事より
「プロトタイプ(prototype)」の意味するところが正確に理解できていませんが、2月6日に予定されているらしい2013年度予算案発表の中で話が出るかもですので、とりあえずご紹介させていただきます。
Alan Shaffer副次官は
●今後、今までのような巨大システムを造ることが難しくなるので、我々の手中にある技術を、どのようにしてプロトタイプ方式で具体化させることができるのかを考えている
●実戦使用よりも特定技術の理解を深めるため、1950年代に行っていたX-planeに似た、新時代バージョンのプロトタイプ方式を考えている。
●当時の開発技術コミュニティーに立ち戻ったイメージでプロトタイプを作成し、その過程からシステムの有効性確認やコスト試算、更には関連技術の応用先検討に資することが出来ると思う
●プロトタイプ方式を増やすことにより、軍需産業界の設計デザインや技術部門の維持を助けるだろう。
●この方式が有効と分かっている分野に、電子戦や電視防護のエリアがある。
統合参謀本部のフランクリン少将は
●我々は、もはや以前のように、各軍種毎の特異なニーズに答えるための個別で高価な装備品開発や調達は出来ない
●統合参謀本部は、一つの軍種の要求に基づくシステムが、他軍種とも共通使用できる様になっているか、又は他軍種のシステムと連接可能になっているか等々を厳しく精査するようにしている。
●特定の軍種のみの使用を追求したモノでなく、軍種間の相互運用性を追求するために、ある程度性能上の妥協やトレードオフも積極的に受け入れるつもりである。
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プロトタイプ方式にすることにより、どれほどのメリットがあるのかは長期レンジで見る必要があるでしょう。
軍需産業の技術者やラインを維持するため、研究課題と予算を与える方式、とも理解できます。
軍需産業基盤の維持に苦労する他国や日本にも適応可能なのかも分かりませんが、新国防戦略で使用された「Reversibility」と並んで、この「Prototyping」も軍需産業を巡る一つのキーワードになりそうです。
「新味なき新国防戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-06
「QDRの(軍需)産業基盤の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-08
「武器輸出・共同開発の方針転換」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-22