ThanksGiving(感謝祭)の休暇で、米国防省も米軍事メディアもお休みモードに入っています。
ということで、本日は米国の高名なエコノミストによる、「日本経済は難局に相対的に上手く」対処してきたが、日本を馬鹿にしてきた米国は、日本のようにうまく対応することは出来ないだろうとの警告をご紹介します。
10月31日付で岡崎久彦氏のブログで紹介された、米PIMCOのMohamed El-Erian社長による主張(ロイター配信)です。
同社長とその主張を岡崎氏は・・
●PIMCOは約108兆円と巨額の運用資産総額を誇る、世界有数のアセットマネジメント会社である。同社の最高経営責任者兼共同最高投資責任者であるエラリアンは、誰もが耳を傾けたがるトップスター級のエコノミスト。
●そうした人物の日本評価は強い浸透力があり、これは、この先しばらく日本についての言説を規定することになるかもしれません。
El-Erian社長の見方は・・
●「日本で起きたようなことは米国では起きない」などともはや言えなくなってきた。米国は自国の経済問題に対処できない日本を馬鹿にしてきたが、今やバブル崩壊後の事態に対処するのがいかに難しいかがわかってきた。
●金融や財政支出による米国史上最大の景気刺激策も効果を発揮しない。低成長が続くと、債務の削減も思うに任せず、経済は上向かないどころか下降を続けてしまう。その間に悪化する雇用不安は弱年層を直撃する
●加えて構造問題がある。政治が必要な改革を実行する能力を失ってしまっているし、国際経済自体が逆風下にある中で、ただでさえ困難なバブル後不況からの脱却はなお一層難しくなる
●これらは日本が経験してきたことだ。ただ、日本は難局に対して「相対的に上手く」処してきた。それを可能にしたのは・・・
—日本社会の一体性と、それがもたらすセーフティネットであり、
—対外純債権だ。米国にはこれが決定的に欠けているので、外からの資金フローの変動に対するクッションがない
●従って米国の方がより深刻で、経済的コストはより高くなり、金融の脆弱性もより深刻になり、社会的混乱も大きくなるだろう。これは既に「ウォール街を占拠せよ」運動で現実化している
●米国当局者は頭を切り替え、日本で起きたことが自分たちに起きるはずはないなどという考えを捨て、マヒ状態の政治を建て直し、必要な施策を打つことに尽きる。米国は下手をすると日本より悪くなる。
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岡崎氏は更に、日本はもっと評価されても良いと・・・
●不況が2~3年続いただけで、米国、英国、その他欧州主要国では街頭運動が起き、治安維持が危機に
●他方、日本は不況と20年付き合い、そうした中でも社会構造は概して破綻がありません。通りに出て乱暴を働く者もいません。311大震災以降も。
●かつ、その間には不良債権をすっかり処理し、今では先進国の中で最も身ぎれいな銀行セクターを持っています
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「お褒めの言葉」といっても、「同類相哀れむ」の感が否めませんが、それでも「ようやくわかってくれたのか」と思います。
米国に余り自信を失ってもらっても困りますが、謙虚に我が身を振り返って欲しいモノです。