米中航空産業の接近

comac919.jpg10日付「DODBuzz」が、米国航空機エンジン製造の巨人であるGE(General Electric)と、中国国営の中国航空公司(AVIC)との航空機エンジンを巡る協定関係に警告を発する記事を掲載しています。
DODBuzzは、ある対中国懐疑派議員の動きを紹介しつつ、さじ加減の難しい軍需関連技術貿易の管理を紹介しています。
Randy Forbes下院議員は・・・
●同議員は中国懐疑派の代表格であるが、10月17日パネッタ国防長官に対し、GE社がAVICとの協定に基づき、中国製旅客機のためにアビオニクス製品や技術を提供使用としていることについて調査するよう書簡で要求した。
●同議員は書簡で、協定に含まれる技術は、GE社製であるF-22やF-35の搭載装備品と共通の技術を使用するモノであり、AVICとの協定履行で中国側に最先端技術を提供し米側に多大な総合的損失をもたらしかねないと深く憂慮している、と訴えている。
GE社報道官はこの主張に対し・・・
comacMOU.jpgForbes下院議員は誤解している。AVICとの協定でCOMAC 919旅客機に提供しようとしているシステムは、F-22で使用されている製品とは何の関係もない(no correlation)
●我が社とAVICとの協定に関しては既に2年以上前から明らかになっており、商務省と国防省によって完全に精査されたモノである。言い換えれば、2年間に渡ってGE社は両省庁のあらゆる専門家と協議の上で現在の取り決めに至っている。
また、両省庁は両者の協力関係には何のライセンスも必要ない、と述べている
本件は、米軍需産業の海外輸出と輸出手続きの簡素化を強く主張してきたRandy Forbes下院議員に取って、ある面では勝利である。しかし中国でなかったら・・・である。
記憶の方もあろう、以前WSJ紙が、中国企業が米大統領専用ヘリの機種選定に応募してきたことを・・・。
chinapanda.jpg仮に戦闘機エンジンのノウハウが流失しなくても、旅客機用のエンジンは、空中給油機やAWACSや海上哨戒機や輸送機や亜音速爆撃機(誘導兵器搭載の)のエンジンのレシピを低価格で提供していることにはならないか。
このAVICとの共同事業は、100ピースのパズルの90までを完成させた状態で手渡すことと等しいのではないか。
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米国防予算削減を受け、米企業の軍事技術輸出手続き緩和や迅速化を進めてきた米国防省ですが、生き残りのため中国との関係強化に走る米軍事産業の動きは「痛し痒し」ではないでしょうか・・。
西側諸国の経済に元気がない以上、目を向ける先は中国で、足元を見る中国は技術開示や知的財産権の放棄を主張し・・・
「中国のネック戦闘機エンジン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-30
「映像と評価中国ステルス機J-20」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-30

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