イラクとの交渉がまとまらず、年内にイラク駐留米軍を全て撤退することがオバマ大統領から発表されていますが、相変わらず目が離せない「イラン」の存在もあり、湾岸地域の米軍勢力を単純に削減する雰囲気ではないようです。
31日付「Defense News」は・・・
●匿名の国防省関係者は、イラクの安定とイランの当地域での動向に懸念がある中、米国防省はイラクから撤退する約39000人の兵力の一部を、隣国のクウェートへ移動させて残す方向に傾いている、と述べた。
●また週末のNew York Times紙は、イランの影響力を懸念する当地域の米軍指導層は、湾岸地域に展開する米海軍艦艇数の増強を考慮している、と報じている。
●先週パネッタ国防長官は、米軍のイラク撤退をイランが誤解しないようイランに警告を発し、「イランや他の異なった意見を持つ者に明らかにしておく。米国は当地域に4万人を維持する。クウェートに2.3万人、その他は当地域全体にである」と語っている
●これに対し31日、イラクを訪問したイラン外相は、米国は合理的な手段を選択していない、と米国の警告を無視した。
31日、リトル報道官とカービー大佐(報道担当次官補代理)は
●米国は湾岸地域で前方展開兵力を維持する。我々のゴールは、安定を促進することであり、そのためイラクやクウェート、そして周辺国と強力な軍事関係を維持することを意図している。
●湾岸地域での米軍展開部隊は、如何なる特定の脅威を対象としたモノではなく、当地域の安定と安全保障への我々の真剣な関与を目的とするモノである。
●(具体的な兵力数や配備場所に関する質問に、)未だ意志決定過程にあり、追加兵力に関しては何も決定されていないし、大統領や国防長官に上申された計画もない。
////////////////////////////////////
中国の陰に隠れ、米軍事情報サイトでも扱われる頻度が下がってきたように見えるイランですが、北朝鮮と並んで「手詰まり」状態は継続しています。
「アラブの春」の動きや、国連やユネスコでのパレスチナ加盟問題など、単純に米軍のプレゼンス維持・増強が受け入れられるのか分かりませんが、突然空白になっても落ち着きません。特にお金持ち湾岸産油国の王族の皆様などは・・・。