米国防省が宇宙アセット防護計画を

久々に宇宙関連の話題です。
carlson-NRO.jpg15日、以前少しご紹介したNRO(National Reconnaisance Office)のカールソン長官(Director Bruce Carlson)が記者団との朝食会で、米国防省が宇宙アセットを事故や攻撃から守るためのプログラム(JSPP:Joint Space Protection Program)を立ち上げたと述べました。15日付「Defense Tech」記事より
NROはほとんどが非公開の組織ですが、衛星等の宇宙アセットを用いて情報収集や初度分析を行う機関で、最近では宇宙から収集した画像と電波情報を融合し、仕掛け爆弾やテロリストの位置特定をする技術開発も行っているようです。
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「謎のNROを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-20-2
カールソン長官曰く・・
BruceC2.jpg●世界中の国が多数の衛星を打ち上げ始めたため、宇宙は大変混雑してきている。宇宙は広大だが、物理学の法則で3–4種の軌道しか衛星には使用できないため、各国はそこに衛星を配置してくる。
特に中国の宇宙での活動活発化が隠すことのない我々の懸念事項である。なぜなら中国の意図するところがよく分からないからである。
中国やロシアはかなりの打ち上げ能力があるが、space operations能力はそれほどではない。そこで中国のような国は、能力で米国と競争するのではなく、米国の能力を削ぐことに焦点を当てている。
●そのような難しい状況に対応するため、我々は米空軍宇宙コマンドと極めて緊密にそして継続的に協力し、JSPPを立ち上げた。このプログラムは我々の宇宙アセットを悪意や事故等から守る「最後の切り札」であるため、非公開部分が多い
Defense Techのコメント・
X-37B-2Taxiing.jpgこの話を聞いて頭に浮かんだのが、「謎のX-37B」である。JSPPにおいてX-37Bが何らかの役割を果たしているのではないだろうか
X-36Bの初飛行は約220日に及ぶ極端に長期間で、アマチュア観測家によってその間頻繁に軌道を変更していた様子が確認されている。小型スパイ衛星の投入や他国衛星の近接監視が任務だと想像されているが、JSPPとの関係が注目される。
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「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20
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宇宙とサイバー分野は、一体化して考える必要があるのでしょうが、どうも基礎的知識がなくて「雲をつかむような」感じが否めません。しかし少しでも頭に積んでおきましょう。
ところで、「宇宙の渚」付近の話題ですが、実験結果が思わしくないPGSの一翼、X-51Aの実験失敗の原因がどうもはっきりしないようです
15日付「Defense News」は
X-51Awaverider.jpg●途中で通信が途絶えた2回目の試験結果を解析した結果、地上実験や設計計算から予想していた値や1回目の試験より、スクラムジェットの推力が非常に大きかった
●研究者達はこのミステリーに困惑している。何が起こったのか分からない状況である。
●航空アナリストのAboulafia氏は、スクラムジェットは25年間も期待を持たせながら研究を続けているが、何ら成果を収めていない。この技術に勝算があるのか怪しいと懐疑的である。
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「X-51Aは初期実験段階」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23
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