カーター副長官候補が議会で語る

久々に米国防省幹部を取り上げます。新体制はまだまだ試運転です。
carter.jpg13日、カーター国防次官取得・技術担当)が次期国防副長官就任の承認を得るため上院軍事委員会に出席し所信を述べました
もちろん、国防のため国防長官を支え、統合参謀本部議長や各軍種トップと緊密に連携してこの難局に立ち向かいたいとの姿勢を述べたわけですが、パネッタ長官が副長官に期待していることに言及している部分があり、興味深いのでご紹介します。
国防次官としての優先事項
ワインバーガー国防長官以来、全ての国防長官に何らかの形で仕えてきたが、ゲーツ前長官とパネッタ長官の下で働くことが出来たのは特に幸運だった。
carter2.jpg国防次官として優先して力を注いだのは第一に現場兵士に必要な装備物資を迅速に供給して如何に助けるかである。仕掛け爆弾対処装備、偵察監視能力の向上、兵站支援の改善等々に、ペンタゴン流の複雑で時間の掛かる手続きではなく、現場の要望に応じて取り組んできた。朝起きると何が必要かをまずあらためて問い直し、一日をスタートさせる毎日である。
第二は予算を如何に効率的に使用するかである。2009 Weapon Systems Acquisition Reform Actの制定により第一歩を踏み出し、ゲーツ前長官と私が現在の財政危機に先駆けて着手した改革であるが、未だ十分とは言えない。調達担当者、産業界、そして議会と緊密に話し合い、更なる手段を講じて効率使用を前進させる
パネッタ長官の副長官として
●次官として取り組んできた上記2点については引き続き関与する。パネッタ長官が主張しているように「財政秩序と強力な国防体制は二者択一ではない」と信じている。
パネッタ長官は副長官に、常に長官と考えを同じくして行動・言動を行うことを求めている。そして「副長官は、国防省業務を整斉と思慮深く整えることにより、長官が適切に判断し、正確に整理された情報とあらゆる選択肢を大統領に提供できるよう期待されている
carter3.jpg●またパネッタ長官は副長官に、「予算編成を統括し、長官の判断が必要な鍵となる重要事項に絞りこむ」ことを期待している。また「他の国防省全体に関わる事項は副長官が管理し、大きな影響を及ぼす長官判断が必要な事項についてのみ最終判断を仰ぐよう」求められている。
●パネッタ長官は、これら全てを長官の考えに沿って、考え方を同じくしてやってもらいたいと副長官に期待している。
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また14日正午のNHKニュースが「普天間の嘉手納統合案も否定せず」と取り上げた件に関してですが、AirForce MagazineのDaily Report(9月14日付)が伝えるところ・・・
海外駐留米軍兵力の配置場所移転については、米本土への呼び戻しも含め、あらゆる選択肢が「テーブルの上」にあるので検討していきたいと述べた。
●この発言は、再編が予定されているグアム島、沖縄、日本に駐留している米軍を含むものである
CarterAs.jpgあえてコメントさせていただくとこの発言では「嘉手納への統合」や「普天間移転白紙化」にばかり注目すべきではなく、嘉手納駐留米空軍の一部や海兵隊の戦闘部隊を米本土やグアム島へ引き上げる事を含んでいる点が重要です。
再度申し上げれば、レビン上院軍事委員会委員長ら3名の提言は、中国からの攻撃に脆弱な日本や韓国の駐留米軍を後方へ下げろ、との意味合いを強く含んでいます。予算削減も狙ってですが・・・。
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「レビン提言とAir-Sea Battle」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-14-1
「米豪が新協定で軍再編加速へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-07
なお、カーター氏が議会に提出した書面は→こちら88ページ
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史上最高齢で国防長官に就任したパネッタ長官にとって、この難局に巨大組織を動かすには、副長官の働きが極めて重要となりそうです。
次官として「調達のシーザー」と呼ばれ、軍事産業に睨みをきかせて意識改革に取り組んできたカーター氏は副長官に適任かも知れません。
カーター次官(次期副長官)関連
「コスト超過は企業責任」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-20
「調達制度改革は進展」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16-2
「国防省コストカット発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「KC-X最終決定 泥沼回避か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25
「調達及び開発改革の指針発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1
「リン副長官が退任発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-08

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