9月9日、ラジオNIKKEIで放送の「伊藤洋一のRound Up World Now!」の中国特集の内容をご紹介します。まんぐーすは内容の真偽のほどを判断出来ませんが、米中の思惑と妥協点を探る動きが自然な形で紹介・分析されていましたので・ご紹介します。
Podcastで配信されたものを聞き取った内容ですので、細部ご関心の方はwebサイト等でご確認下さい。あまり好きになれない感じのバイデン副大統領ですが、外交通の面目躍如の模様です。
恒例の「中国特集」は、富士通総研主席研究員の柯隆(かりゅう)さんが最新の中国情勢を解説する形で番組が進められています。
バイデン訪中の成果について
●8月17日から6日間も中国に滞在し、次期主席の周近平がほぼ終始アテンドしていた。
●ほとんど報じられていないが、この訪中間の副大統領の大きな成果は、中国から米国債の追加引き受けの約束を取り付けた事である。米国債の格付けが下げられ市場も不安定な中、米側は国債を巡る環境を安定させたかった。
●中国側は見返りとして米国から、人民元切り上げ圧力の緩和、台湾への最新F-16戦闘機の売却見送り、更には南シナ海問題での圧力緩和を引き出した。
●中国は外貨準備をどのように運用するかの選択肢が限られており、経済的観点だけでなく外交安全保障全般を見て、リスクの増加した米国債の追加引き受けを選んだのだ。それだけ台湾や南シナ海問題は中国にとっても微妙な側面を持っている。
中国インフレの状況
●人民元切り上げも、中国内インフレ率が6%以上に高止まりの中、なかなか難しいことであり、米の圧力を下げることが必要だった。
●中国のインフレは、家畜用食料の穀物価格高騰や住宅価格の高止まりもあり治まる傾向はない。住宅への投機を抑える政策にもかかわらず住宅価格が下がらないのは、価格の大半を占める土地価格を地方政府が収入減を恐れて意図的に下げないことや石油価格高騰から建材価格が高止まりしているからである。
鉄道事故関連
●鉄道省の旧態然とした体制が問題視され、原因の根本にあるのは間違いないが、現政権は交代の時期に入り鉄道省改革への意欲は薄い。また政権には事の重要性への認識が十分ない。
●温家宝首相が事故後5日たってやっと現場へ赴き、「病気で11日間動けなかった」と言い訳していたが、事故前日に元気な姿で河野洋平氏らと会談している様子がネット上で暴露されている。余りにもお粗末な事実隠蔽である。
●ネットで政府の事故対応批判が広まったが、20万人もの中国版twitter使用者が一斉に不満を発信し、言わば「20万人が同時に信号無視」したので当局もどうしようもなかった。その後twitterへの監視が強化されているが、監視・取り締まりの限界も垣間見えた。
●しかし中国当局の報道規制に関する通達の重みに陰りはなかった。
中国進出の日本企業への助言
●中国進出する日本企業は製造業が多く、現地責任者も技術者であるケースが9割である。
●しかし技術者である責任者は、中国内での人付き合いや政治経済を含む情報収集、危機対応に弱く、緊急時にパニックを起こす人が多い。企業はマネージメント力のある人材を送り危機対応力を付けるべき。
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米国弱体化の兆候がいろいろなところで見られますが、中国も綱渡りであることが窺えます。
慌てず騒がず、政権の非難や溝に落ちた人を棒で突くようなことばかりでなく、堅実な代替案を出せるように成るべく「Cool Head, Warm Heart」で参りましょう。
「中国インフレの混乱と処方箋」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27
「中国バブル崩壊は秒読み」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-06