中国J-20戦闘機は脅威なのか?

j20highres.jpg中国が開発中のステルスと噂のJ-20戦闘機は、空母と並び中国の急激な軍事力近代化の象徴として世界で「大騒ぎ」状態なのですが、少し冷静に見てみようとの記事が8日付「Defense Tech」に掲載されました。
深い掘り下げがあるわけではないですが、読者アンケート結果なども掲載されていますので、米国(世界の軍事マニア?)での「相場観」としてご覧下さい。
「Defense Tech」の記事は・・
●今週第1回目として、我々は読者の皆さんに対し「J-20はどのような用途に使用されると思うか?」と質問した。
●その結果から、ほぼ半数の人が、J-20を敵の戦闘機、AWACS、空中給油機等を高速で要撃する用途、または、その機体の巨大さから敵防空網を突破して相手の基地や空母を攻撃する長距離兵器だと考えているようだ。
Aboulafia.jpg●もっとも、後半の突破型長距離兵器との意見には専門家の異論もある。航空評論家のRichard Aboulafiaは、ゲーツ前国防長官が皮肉を込めてよく用いた「極端に見事(exquisite)」の部類に入る代物と考えている。
●もし突破型の兵器につぎ込む金があるのなら、なぜ中国は長距離ステルスミサイルに資金を投入しないのか? 中国は基本的に圧倒的多数のミサイルで米軍防空網を飽和させようとしているはずなのに。
●またJ-20の機体を見ても、電波反射率の高いカナード(補助翼)を装備していることが説明できない。もちろん侮ってはいけないが。
「Defense Tech」による第2回アンケート集計(途中集計)
質問:中国のJ-20は戦闘において有効か
(How Effective Will China’s J-20 Stealth Fighter Be in Combat?)
●回答
5.8% — F-35やF-22を凌駕する
25.2% – F-35やF-22とは比較にならない(劣る)
5.0% — 米戦闘機と引き分け
36.1% – 西側操縦者は戦術、訓練、技量、運用要領でJ-20よりも遙かに優位
24.5% – 後の本格開発のための単なる技術検証用
//////////////////////////////////////////
J-20に関する情報が不十分な中での調査ですが、同サイトを見ている姿なき自称「軍事好き」達の投票結果です。
RandChina.jpgまんぐーすの感覚・直感と似た結果です。特に、航空評論家Aboulafia氏のコメントには同意です。
米空軍が資金を出してRAND研究所が実施した中国空軍の戦略研究でも、基本的に中国は米軍に空中戦で勝てるとは考えておらず、弾道ミサイルや巡航ミサイルとの組み合わせで米軍航空戦力を地上で破壊しようとしていると結論づけています。
   ↓   ↓   ↓
「RAND報告:中国空軍戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-29
まんぐーすはJ-20を、空母と同じく、発言力を強めた軍部が軍人の夢(パイロットの夢)を追いかけているもの、または軍部を黙らせるために政治レベルが好きにさせている遊びの部分ではないかと見ています。従って空母と同じく本流の脅威ではありません。
空母や中国軍部全体に関しては、似たような見方を石破氏や空自OBの織田氏がされているようです。
   ↓   ↓   ↓
「石破茂・元防衛大臣の疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-21
「空自OB FXはステルス無しでも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-16
chinacyber.jpgブログを書いて如実に感じるのは、中国を題材にするとアクセス数が端的に増えることです。TV・新聞・雑誌の編集者や物書きの方は、より敏感に感じておられて中国ネタを取り上げると思うのですが、見る側には「醒めた視線」が必要でしょう。同時に、中国軍近代化を利用して特定装備を後押したり、組織防衛に入る防衛関係者にも注意ですが・・・。
それでもあえて空母と戦闘機記事
「映像と評価中国ステルス機J-20」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-30
「画像中国空母Shi Lang施琅」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-08
「論争:中国空母は脅威か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-28

タイトルとURLをコピーしました