イランとAir-Sea Battle雑感

irancruisemissile200km.jpg23日、イランがここ数ヶ月恒例となっている射程約200kmの「新型(対艦)巡航ミサイル:Ghader」を発表したことを一つのタイミングとして、23日付「DODBuzz」が思い出したようにAir-Sea Battleに関する記事を掲載しています。
「思い出したように・・・」とは、最近の軍事情報サイトは、予算削減を巡る軍需産業と政界のせめぎ合いや、国防省高官による「空虚な軍にするなかれ」、「退役制度の変更について心配するな」、また「議会で与野党が合意しなければ、恐ろしい一律カットになる」と言った発言ばかりを報じており、政治色中心の話題でにぎわっているからです。
それでも幾つかの情報も含まれていますのでイランの新巡航ミサイルを扱った23日付「Defense Tech」記事と併せてご紹介します。
23日付「DODBuzz」と「Defense Tech」記事は・・
23日にイランのアフマディネジャド大統領が、数ヶ月に一度の恒例行事のように新たな巡航ミサイルを発表した。射程約200kmのGhaderと呼ばれるミサイルで、名目通りの性能を発揮すれば、ペルシャ湾やオマーン湾を航行する船舶を全て攻撃することが可能になる。
イランが仮に誘導装置と目標位置評定能力を備えていれば、これら一連のミサイルはパレード用だけでないことになるが。
イランはこのほかにも大量の機雷を保有しているといわれ、仮にホルムズ海峡で使用されれば、最強で最新の装備を備えたとは自信を持てないバーレーン駐留の米掃海部隊などで、世界の原油需給を支える原油ルートを確保しなければならない。
ASBM DF-21D2.jpg米国防省による中国の軍事力に関する定例レポートの発表が3月1日の期限を過ぎて遅れている(8月24日に発表されました)。イランと中国関連の話題が出たことで、接近拒否戦略や領域拒否戦略への対策に再び注目が集まった。
中国が1996年の台湾総統選挙直前に米空母の登場によって味わった「恥」の汚名を晴らすべく、悪名高い対艦弾道ミサイルの開発に力を注ぐ中、米空母戦闘群はどのようにその射程外から活動するのか。
米海軍と空軍が取り組んでいるとされる「Air-Sea Battle Concept」がどれほど状況の打開に結びつくかは不明だが、国防省関係者は、文書自体はおおむね完成しており、国防長官周辺スタッフのところで精査中だと語っている。
本年後半には、公開バージョンの同コンセプトを我々も目にすることが出来るであろう。
SSGNOhio.jpg●例えば同コンセプトには、空軍爆撃機が機雷を敷設するか、海軍イージス艦が空軍の海外基盤基地の弾道ミサイル防衛を行うか、海空軍は協力して米空母群を狙う中国ミサイルシステムを破壊するか、空軍爆撃機と海軍潜水艦が協力して中国センサー群を盲目化するか、等々の方向性を示すのだろう。
●しかしコンセプトはあくまでペーパーでしかない。所詮、国防省の通常鈍重で欠陥だらけで時間が掛かる調達システムを通してしか現実にはならないが・・・。
●いずれにしても、現在実施中の「根本的戦略見直し(comprehensive strategic review)」によって、接近拒否戦略や領域拒否戦略への対策の方向性を示すべく同コンセプト関連の事業は、他の縮小分野を横目に成長を遂げる分野であろう。
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恒例のレポート「中国の軍事力」発表が延期されてましたが、24日に発表になりました。
「Air-Sea Battle Concept」の公開版が本年後半に公開されるであろうこと、公式の同コンセプトの方向性がCSBAレポートとほぼ同様であろうことが示唆されています。・・・イランの新ミサイルもでした・・・
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「有事直前嘉手納から撤退?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
「Air-Sea Battleの状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「レビン提言とAir-Sea Battle」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-14-1
「新防衛大綱とAir-Sea Battle」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19
その他「Air-Sea Battle Concept」関連記事は・・・
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2301176212-1

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