先日は石破茂・元防衛大臣にご登場いただき、中国海軍の動向に関する視点をご紹介しましたが、27日付「DODBuzz」が中国空母は「太った容易な目標」とする元国防大学教授の見方を批判しつつ紹介していますので取り上げます。
中国海軍の行く末が、破産した旧ソ連海軍と似ている・・「旧ソ連空母ヴァリャーグを購入した時点で」と表現する軍事アナリストDaniel Goure氏の主張は・・・
●間もなく海に漕ぎ出そうとしている中国空母Shi Lang施琅は、米国の太平洋における勢力に何ら影響を与えるものではない。
●中国の空母は、「壮大な見栄のプロジェクト」であり、疑問だらけの(道楽息子の)スポーツカーであり、極めて脆弱なものである。そしてこのプロジェクトには旧ソ連という先達があった。
●中国軍は、単に旧ソ連から空母を購入したのみならず、旧ソ連時代の(古いビジョン)急進する国家は外洋海軍を保有せねばならないとの思考パターンまで購入したのだ。
●旧ソ連は外洋海軍建設の過程で、政治や軍事的に全く無意味な大海軍建造に膨大な資金と資源を無駄に投入した。中国も、旧ソ連やロシアと同様の大陸国家である。
●空母を保有することと、作戦面で有効な空母戦闘群を保有することは全く違う。中国が空母戦闘群を望むなら、全周の防空体制と対潜水艦作戦能力、洋上補給態勢、海空協力態勢等々の準備が不可欠である。中国には、E-2Cやイージス艦やC-2輸送機やロサンゼルス級攻撃潜水艦が存在するだろうか?
●むしろ米海軍は、中国海軍の外洋海軍建造を歓迎すべきではないか。米海軍が70年間培ってきた水上艦艇攻撃能力を持ってすれば・・・。
DODBuzzのコメントは・・・
●もし仮にタイムマシンに乗って1984年に米海軍幹部であったなら、当時のソ連海軍増強を「関係ない」とは言えなかったであろう。
●またDaniel Goureは幾つか見落としている。まず、中国は少なくとも現時点で米海軍と対決しようとしているのではなく、西太平洋地域の近隣弱小国へのパワープロジェクトや威圧のために空母を建造している。これは米国が空母を大部分の時間、威嚇や弱小国家攻撃に使用してきたのと同じである。
●DODBuzzが以前にも主張したように、(原潜の父)Hyman Rickover提督が自ら認めていたように、原子力空母はソ連との全面戦争下では2日間でやられたであろう。
●しかし、そのような前提でも、空母は長年にわたり世界中で活動を続けた。なぜなら、空母は全面戦争以外でも、多方面で極めて有効であったからである。中国がこのような砲艦の柔軟性を求めるなら正に適合している。
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この「DODBuzz」の記事のような噛み合った議論であれば、参考になり、今後の議論の基礎になりますが、「空母だ!大変だ!」とただ騒ぐだけの議論は止めて欲しいと思います。
年金だって確保が必要だし、社会インフラの補修維持も必要だし、教育を支える学校への補助も必要です。もちろん最低限の医療費等の社会保障も・・・。
従業員6.5万人の日本最大の自動車会社は、約10年後には社員の中の約1.5万人が要介護の父母を抱える状況に置かれると推計し、支援策等を検討しています。これは産休の女性社員よりも遙かに数が多く、働き盛りの中間層に関わる問題です。
もちろん子供手当には反対ですが、すぐさま右から左へ防衛費に、との議論にはセンスも大局観も感じられません
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「画像中国空母Shi Lang施琅」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-08
「中国海軍の何を恐れる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-08
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