12日付「DefenseNews」が、ゲーツ長官へのインタビュー(長いです)を掲載しています。いつ実施されたものかが不明ですが、延々と本ブログでご紹介してきたゲーツ長官の主張が、新たな事例を含めて述べられており、非常に興味深いですし、参考になります。前後半の2回に分けてご紹介します。
概要をまんぐーす的意訳でご紹介します。是非原文をご覧になって、プレス対応の巧みさもあわせてお楽しみ下さい。ゲーツ長官はプレスにとっても評判が良いのです。
着任時の意気込みは?
●私が国防長官に着任したとき、特段これと言って何かを変えようとは思っていなかった。ただイラクとアフガンの件は、2年間の任期に取り組まなければと考えていた。特にイラクに関してである。2年間では、国防省の文化や官僚組織を変える時間などないと思っていた。
●しかしその2年間で、私は私を困らせる国防省の仕組みを強烈に学ぶことになった。例えば、陸軍病院のイラク負傷者の扱い、装甲人員車両の件、医療緊急搬送の検討等である。
●調達システムに大きな問題があることを知った。10–20年以前に作成した要求性能のまま、今現在の現場を無視した装備が膨大な金をつぎ込んで調達されている状況を知らされたのである。
●例えば陸軍のFuture Combat Systemsは完璧な例である。アフガン等で仕掛け爆弾で死傷する兵士が激増しているにもかかわらず、莫大な経費を投入したその車両は、そこが平らで装甲が薄く、仕掛け爆弾の被害を完全に無視していた。怒りを覚える価格は言うまでもなく。
●B-747にレーザー兵器を搭載し、弾道ミサイルの発射段階を70マイルの距離から撃墜しようとするシステムも悪い見本である。27機も要求されていたこの巨大な航空機は、敵の防空網が強化されつつあるのに、その任務が果たせると考えられていた。
オバマ政権で留任した後に変化?
●それでも当時は「私の後任の国防長官が対応する」と発言していたものだ。オバマ大統領に留任するように言われ、これらの問題の幾つかに取り組むことを決意した。
●最初2年間は、ラムズフェルド前長官が行っていた年2回の4軍参謀総長会議で種々の課題を議論していたが、以後定期的に各参謀総長に加え戦闘コマンド司令官も交え、予算、資源、諸計画について議論することにした。
●いろいろ言われるが、2年半の間の議論は一丸となって行われていた。参加者は皆、予算が厳しいことを認識しており、それなら自分たちの意見を生かした対応を考えたいとの思いがあったのだ。
●国家の財政状況に鑑み、国防省として自発的に取り組む必要があり、私はこの18ヶ月間ほど種々の効率化策に取り組んできた。大統領にも説明してきたが、国防省は今後も毎年2-3%の実質予算の伸びが必要である。
●その伸びを確保するため、無駄部分を削って真に必要な部分に回す取り組みを国防省内で行った。4軍にとっては新鮮な取り組みであったようで、約14兆円の削減分野と約9兆円の再投資分野を明らかにできた。
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後半は、「35兆円削減要求への対応」と「調達装備品開発改革の処方箋」についてです。
経費縮減関連
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「4段階で経費削減に臨む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-20
「更なる予算削減に備えて」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-23
「オバマ35兆円削減宣言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-05
「14兆円精査案で政府議会と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-07
「兵士と将来に9兆円捻出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29
「国防省コストカット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「Transformerゲーツ長官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-17-1
「ゲーツの取得開発改革指針」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1
「ゲーツ改革のまとめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
「ゲーツ長官が議会にも宣戦布告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
「アイゼンハワーライブラリ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11