衝突警告677回:中国産宇宙ゴミ

RoseDOS2.JPG13日、チェコのプラハで開催された宇宙安全保障に関する環大西洋パートナー会議で、米国務省のローズ次官補代理(Frank A. Rose軍備管理担当)は、宇宙を漂う「ゴミ」によって如何に各国の衛星が危機にさらされているかを警告し、また宇宙安全保障の第一歩として「宇宙行動規範」の議論にはいることを明らかにしました。
この行動規範はサイバー戦とも関連が深く、「規範を守った者が宇宙の安定的な平和利用の恩恵を享受でき、それに従わない者に従うようし向ける」ため、また「潜在的攻撃者に、我の我慢の限界や最後の一線を知らしめるためにも必要」なモノの一つと位置付けられている様です。
欧州2つの研究機関主催の会議で・・・
spacewar.jpg●宇宙分野での国際協力を推進し、このような定期協議の場を推進するのは、宇宙が混雑度を増し、国際協力無しでは安定的な衛星運用環境を維持できなくなってきたからである。
●具体的には、2007年に中国が実施した対衛星兵器実験と2009年2月に発生した制御不能のロシア・コスモス衛星とイリジウム衛星が衝突により生じた多数の「宇宙ゴミ」が大きなきっかけとなった。
●具体的には最近一年間で、米戦略軍の統合宇宙作戦センター(JSpOC)ロシアに対し252回、中国に対し147回もの衛星近接の注意喚起を行った。
●このような注意喚起は、中国の衛星破壊試験のゴミの影響だけをとらえても、米政府機関や衛星運用民間会社に対して計677回も行われている。そしてその結果、100回以上も衛星所有者は衛星軌道の微調整を余儀なくされている。
●それでもこのような注意喚起を通じて相互信頼醸成になればと考えている。またJSpOCに他国の研修者を受け入れることも積極的に行っている。
「宇宙行動規範」の話し合いを開始する
(宇宙行動規範:code of conduct for outer space activities)
Schriever2.jpg●米国は間もなく、EUとの間で拘束力を持たない「宇宙行動規範」作成に向けた議論を始めたいと考えている。
●この規範は、米国の宇宙における透明性と信頼醸成追求と一致するモノで、宇宙における関係国の責任ある行動と平和的な利用を促進するモノである。
●規範には、既に宇宙を活用している国も今後積極的に利用しようとしている国にも署名してもらい、衛星の衝突や他の衛星の妨害を防止する一助としたい。
米国は既にこの規範の原案の大部分に沿って宇宙で行動しており、衝突の注意喚起を行い、大気圏突入物体を告知し、我が国の宇宙政策や戦略方針を制定して公開している。
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この記事では「宇宙行動規範」の話し合い開始が重要な部分だと思うのですが、ちょっと「東スポ」的な見出しにしてしまいました。ネットずれしてしまったか・・・
ゲーツ長官がNATO国防総会議の後で、「安全保障にただ乗り」する奴らは「受け入れがたい」と怒り心頭のラスト政策スピーチを行ったわけですが、宇宙分野などは他国との差があまりにも開きすぎ、今からではどうしようもない分野かも知れません。
しかし、仮に米国がこの分野で「サービス」を終了したら・・・やっぱり一番困るのは米国かな・・。
ゲーツ長官ぶち切れ
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
宇宙関連
「国家安全保障宇宙戦略:NSSS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-05
「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
「宇宙戦争の指揮は女性が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-30
「サイバー戦の指揮も女性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-06
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