「我々は今後も米軍のプレゼンスを維持強化するために努力を続けるが、今後は展開兵力数(boots on the ground)のみをコミットメントの尺度とすべきではない。今後は艦隊訪問、海軍活動、多様な訓練の実施により、同盟国等との関係を強化し、同盟国等の能力を強化する」(講演より)
4日講演の後のゲーツ長官質疑応答
質疑応答の一部です。この他にもアフガンに関するかなり率直な回答もありましたが、ご興味のある方は国防省HPのトランスクリプト(スピーチも含む)をご覧下さい。
ところで、4日中にゲーツ長官は、もうアフガンに移動(写真下右)してました!! 忙しいですねぇ・・ カルザイから表彰されてました。
スピーチの後、司会者のチップマンIISS所長が、ゲーツ長官の講演から3つのセンテンスに興味を持ったとコメントしています。その3つとは・・・
●1:米軍のアクセスルートや通信を阻害する、新たな妨害技術や装備が当地域に適応されうる
●2:当地域の米軍の目標は、政治的に維持可能で、地理的に分散し、作戦面でresilient
●3:米軍のプレゼンスは、従来のような展開兵力数(boots on the ground)の尺度のみから計られるべきではない
以下、質疑応答の中でのやりとり(一部)
●Q韓国や日本にどのような負担を期待するか(
●Aこのように米国経済が厳しい状況では、議会は、米国民の視点で兵力の前方展開経費が適切であるべきと間違いなく主張するであろう。アジアの友人との間で継続的に協議が行われるであろう。これまでも進展を続けてきたが、今後は更なる精査が2国間で行われるであろう。
●Q朝日新聞:中国の接近拒否兵器の開発の中で、米国の戦力投射能力をどのように維持し、同盟国等に納得させるか(朝日新聞は公式スポンサーです。びっくり)
●Aご指摘のような中国の動きがあり懸念している。しかし差し迫った懸念ではない(not an imminent concern)。同時に我々は、何年も前から対処のためのプログラムを遂行中である。ただこれは当地域に限ったことではない。例えばヒズボラは、射程65マイルの対艦ミサイルを保有しており我々の艦船に脅威を与えている。非公開の計画等で、多くの資金を投入し真剣に対応を進めている。
●Qサイバー安全保障についてどう考えているか
●A国防長官に就任以来、このドメインをどのように守るか、何が戦争の要件になるのか、対応の基準になるのか、どのような手段で等々を考えてきた。
●Aまた私は、対話を通じて世界の国が、何らかのルールを共有し、事態がエスカレートするような行動に出ないようにする共通理解を設けることが重要だと考えている。世界が何が受け入れられて何が受け入れられないかを、早急に共有理解して緊張を下げ必要がある。
●A米国内では今議会とともにサイバー関連法政について議論している。これら正しい手順の始まりの位置にいると思う。
●Qインドとの関係強化は
●A私が2006年にこの職について政府の仕事に戻ってきた際に、(1992年頃のCIA長官時代と比べ)最も驚いたことが2つある。一つはインドとの関係改善であり、もう一つは日本との関係改善である。
●Q(川口順子元外相)北朝鮮に対する見方を
●Aオバマ大統領が中国主席に、そして私が1月訪中の際にも話したのだが、北朝鮮の核ミサイル開発が続いていること、韓国の世論が変化し忍耐が限界に近づいていること、北朝鮮が挑発的な行動に出る可能性があることに留意し、懸念している。
●Aしかし同時に、北朝鮮が挑発し、6カ国協議が開催され、何らかの妥協案が提示されると言った過去に見られた繰り返しには飽き飽きした。同じ手には乗らない。我々は政権交代や北の不安定かを意図していない。6カ国協議を通じ、国際社会のルールの中で関係が改善されることを希望している。
(写真:ゲーツ講演を見守る盟友クラッパーDNIとマケイン上院議員)
●Q米国防費が削減され、中国が増やす中で、プレゼンスが維持できるのか?
●Aシンプルに答えよう。100ドルかけて良い。5年後にも米軍の当地域での影響力は変わることはない、強化されていないにしても。
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4日、ゲーツ長官はシャングリラ・ダイアログで講演を行い、アジアへの関与は変わらないと述べました。速攻早読み間違い御免の概要です。(6日朝・修正)
先週シンクタンクAEIでの講演で語った国防投資の優先事項やワシントン州立大学の卒業式で語った「米国民よ自信を持て」のメッセージが形を変えてシャングリラでも登場しました。IISSサイトのスピーチ原稿より
冒頭でホテルと町の歓迎に感謝した後、「I want to discuss today: the enduring and consistent nature of America’s commitments in Asia, even in times of transition and change.」と述べスピーチを始めたゲーツ長官は・・・
困難な時だが米国の関与に変化なし
●2008年のこの集まりで、大統領選挙後に国防長官を交代するモノだと考えていたから、正直に政権が変わってもアジア政策や関与は変化無いと述べた。実際私が留任した様に米国政策に変化はなく、むしろ関係は強化発展してきた。同様のことが後任のパネッタ新国防長官の元で起こることを確信している。
●米国の経済や財政状況、2つの戦いや米国民の忍耐が切れてきたことを見て、米国のアジアへの関与の信頼性や継続性に疑問を持つのは自然なことである。しかし太平洋国家として、貿易等でアジアと関係が深い米国にとってアジアへの関与に変化はない。これは米国政府や議会の共通の認識である。これが私の14回目のアジア訪問であり、クリントン長官も近く8回目の訪問をすることからも明らかである。
●私が20年前に政権で働いていた頃よりも、より多くの国が米軍との関係を持ちたい強化したいとの希望を持っているように感じている。
当地域での2国間と多国間関係は・・
●当地域での我々の基本原則は以下の4つである。
—Free and open commerce;
–A just international order that emphasizes rights and responsibilities of nations and fidelity to the rule of law;
—Open access by all to the global commons of sea, air, space, and now, cyberspace; and
–The principle of resolving conflict without the use of force.
●また変化の多い当地域にあって、米国のプレゼンスは変化しないほとんど「まれ」な存在であり続けている。
●日本との関係はその好例である。第2次大戦で戦った国同士だが、先の地震と津波に際しては、24時間以内に米軍が対処を開始し、これまでの訓練や人的交流を基礎にしてピーク時には米軍人24000人が救援に駆けつけた。日米同盟はこの困難を乗り越えるだけでなく、更に強固なモノになるだろう
●韓国との関係は、単に朝鮮半島の安保だけでなく、世界規模のための同盟となろう。中国との関係もここ数ヶ月継続的に改善している。インドとの関係は地域の安定から海賊対処や国際舞台での協力に発展している。
●多国間関係も発展の兆しがある。これまでそのような枠組みが無く懸念していたが、昨年はASEAN国防相会議に特別参加の招待を頂き参加した。私はこのような枠組みの発展に楽観的である。
種々の課題が存在する・・・
●海洋航行の安全が当地域の懸念であるが、我が国は航行の自由と商産業の発展の妨げにならないよう、国際法や国連憲章に基づいた行動がとられることが必要と考えている。
●また当地域における軍備の近代化や最新軍事技術の拡散により、当地域への米国のアクセスを拒否しようとの使用も想定される。
米軍プレゼンスと関与の方向性
●安保は一国だけの責任ではない。だからパートナー関係の強化や多国間協力の役割強化を進めている。
●報道機関は北東アジアの伝統的同盟国の基地関連近代化に焦点を当てて報じるが、我々はアジア太平洋地域で、地理的に分散し、作戦面でresilientで、政治的に持続可能な防衛体制の確立に向けて数多くの措置を執っている。
●この体制は、北東アジアでのプレゼンスを維持しつつ、南東アジアからインド洋に至るアジアでもプレゼンスを強化するものである。
●例えば豪との間では、昨年11月、人道的災害に対処するための海軍プレゼンスや能力の強化、インド洋に面した施設の改善、他のアジア諸国を含む着上陸や陸上作戦の演習の拡大を検討する枠組みを作った。
●シンガポールとの間でも戦略合意の枠組みを強化し、作戦面の教科を追究、特に新型の沿岸戦闘艦LCSを配備することになっている。また、両国軍が訓練し行動を共にする機会の増加を検討している。例えば、災害対処資材の前線備蓄、指揮統制能力の強化、両国軍が作戦上直面する事態に備えた準備のための訓練増加
●我々は今後も米軍のプレゼンスを維持強化するために努力を続けるが、今後は展開兵力数(boots on the ground)のみをコミットメントの尺度とすべきではない。今後は艦隊訪問、海軍活動、多様な訓練を複数国参加で実施により、同盟国やパートナー国との関係を強化するだけでなく、相手国の能力強化を図っていく。
●これらのプレゼンスや関与を維持するには資金が必要。米国の経済や財政が困難な状況にある中、、米国防費のあり方の議論は避けられない。この問題は広くこの会議や地域で話題にされることであろう。
Air-Sea Battleが重要な軍事コンセプト
●私が先週講演(たぶんAEIのこと)したように、米国は国防予算を削減しようとしている。私もこれまで取り組んできたが、本当に重要なモノは残してある。長距離攻撃、核抑止、海上優勢、サイバーや宇宙、ISR等であるが、これらは全てアジアと関係深いモノばかりである。
●米海軍と空軍が接近拒否戦略に対応するためAir-Sea Battleを検討している。ここコンセプトは、引き続き米軍が機動展開し、遠方から攻撃して同盟国や重要な利害を守るために行動することを保障するコンセプトである。
米国は困難を克服し、アジアとともに発展
●私は今、ベトナム戦争後の米国内の混乱と自信喪失時代を思い起こしている。あの当時米国民はもうだめかと考えたが、それでも努力して冷戦に勝利し、多くの人々を鉄のカーテンの向こうから解放した。
●私は、今ここで我々が行っていることが将来10から20年後のアジア地域の発展に繋がっていることを信じる者であり、そうだと確信している。また将来世代も米国の関与とパワーの存在について今の世代と同様に話をしていると信じている。
ご参考:ワシントン州立大学とシンクタンクAEIでの講演
「米国の将来を悲観するな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
「政治家よ目をそらすな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
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まんぐーすの感想(ゲーツ長官講演)
ゲーツ長官がシンガポールへの機内で述べていたように、「忍耐」が陰のテーマのような気がしました。
上の概要では細かく触れませんでしたが、例えば日本との関係でも「第2次大戦を戦った敵同士がここまでの関係を築いた」と言った表現振りや、中国に関しても1979年に米中国交回復に至った当時のゲーツ長官の思いにまで過去にさかのぼって現状を前向きに評価し、「関係の進歩」を表現する辺りに「究極の忍耐」が出ているように思います。
一方でアジア諸国の懸念を払拭するため、北東アジアだけでなく南東アジアからインド洋までをも含めて考えるとの明確な表現もありました。
豪とシンガポールでの拠点強化策、Air-Sea Battleを検討中、さらにこれがアジアの同盟国と共通の利害を守るコンセプトだとの表現も飛び出し、アジア諸国の引き留めや懸念払拭に懸命な姿勢も見て取れました。
特に驚いたのは、最後の「米国は必ず復活する」とのメッセージです。これを海外のVIPを前に口にするとは・・・。率直すぎます。
それにしても、今回のシャングリラ・ダイアログに対する日本の報道は陳腐すぎます。
ゲーツ長官の講演にしても、読売が「シンガポールに米海軍の新型艦艇「沿海域戦闘艦」LCS配備で中国牽制」と何となく冷戦思考の書きぶりで報ずる程度です。スポンサーの朝日も似たり寄ったりです。
チップマンも指摘していた「地理的に分散し、作戦面でresilientで、政治的にsustainable」の部分や「遠方から対処」の部分が重要であり、また日本のマスコミ的には質疑の部分の「応分の負担を今後精査協議する」」をしっかり伝えるべきと考えますがどうなっているんでしょう???
読売の記者は「比嘉清太」という沖縄ゆかりの方のようですが、嘉手納から有事米軍撤退とかのシナリオでも記事になるのに・・Air-Sea Battleも初耳だったんだろうな・・(遠目涙)・・
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3日夜の夕食会兼開会セレモニーです。
メインの1番テーブルには、チップマンIISS所長やリークァンユー元首相と並び、梁光烈国防部長です!。そして先日紹介した中国軍の「美人通訳」も再び登場です。
「中国軍トップ訪米と美人士官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18
なお、夕食会の写真にゲーツ長官の姿が全くないので、欠席かもしれませんね・・・
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3日の日程終了後の国防省web記事
米中会談直前にゲーツ長官は・・・
●ここ数ヶ月、他の分野に比して関係発展が遅れている米中軍事関係は、協力の方向をともに確認した分野で進展を見せており、肯定的な軌跡を見せると信じている。
●前進するためには、海賊対処、災害対処、北朝鮮等の共有する利益関連の問題にむけ、米中はともにより多くを成さねばならない。
●両国は多くの点で一致を見ているが、特に重要なのは不同意の部分で継続的に協議を続けることである。それは双方が不同意点について双方の意志を明確にすることにより可能となる。
●我々は世界に対し、優れた両国が共通の利害について協力することが利益に繋がることを示すことがともに出来る。
会談後、モレル報道官は・・
●会談は生産的で、礼儀正しいモノだった。
●ゲーツ長官が1月訪中した際の議題について更に進展させた。会談全体では、不同意部分より同意部分が多かったように感じた。より多くの時間が前進のため協力的に進める必要があるとの点で一致していた。
●中国側は少なくとも数回、ゲーツ長官の米中軍事関係発展への努力を評価し、それなくして昨年来の関係発展は無かったとの言葉もあった。ゲーツ長官は、自身の引退後も両国関係の発展を見られることを希望していると伝えた。
匿名の米側高官は・・・
●中国側からは、台湾への武器輸出、中国の軍事的脅威を声高に述べること、更に中国沿岸での海洋調査活動に関する懸念が示された。
●中国国防部長が5月10日に行われた初の米中戦略安保対話を有意義だと認識していることに勇気付けられた。前回はサイバー分野と海上安全問題を議論したが、次の機会には、ミサイル防衛や宇宙を議題にしたい。
●今日は、より多く議論することに意味があるとの合意が得られたように感じている。
その他、シンガポール国防相と日本の北澤大臣とマレーシア首相との会談も行われた、とのたった2行の付け足し説明がありました。
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3日午後、マレーシアのMohamed Najib 首相に続き、北澤防衛大臣とも会談です。
ゲーツ長官は昨年11月マレーシアへ・・・「中国包囲網」です
「マレーシアと関係強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-10
3日午前第2弾、ついに米中国防相会談です。
会談の中身はまだ不明ですが、ゲーツ長官は機中で「継続的で安定的で信頼感ある軍同士の対話が「なぜ」重要なのかを議論したい」と率直な態度を表明していました・・・。
しかし・・・梁光烈(General Liang Guanglie)国防部長迫力あるなぁ。
3日午前中、ゲーツ長官はシャングリラ・ダイアログのホスト国シンガポールのNg Eng Hen国防相とまず最初に会談し、仁義を切りました。
ちなみにシャングリラ会合は英国のシンクタンクIISSの主催ですので、シンガポールは場所の提供だけですが、何せ20カ国以上の国防相級が集合しますので、警備だけでも大変な騒ぎになっているようです。
しかし、ゲーツ長官にとってシンガポールは単なる挨拶で済む国ではありません。米海軍の重要な寄港地であり、空港も重要ですし、海賊対処にも重要な国です。「政治的に基地維持が安定し、地理的に分散し、作戦面で打たれ強い」米軍の態勢をアジアで目指すゲーツ長官と米軍にとって、インフラの整ったシンガポールは、中国が狙う南シナ海をにらむ重要拠点だからです。
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1日、ゲーツ長官はシンガポールへの移動の機中で・・・
●米国を巡って、アジアには「甲論乙駁」、様々な議論があるだろう。しかし同時にアジアの大部分の国にとって、米国との関係を強化し、より強力なパートナーシップを構築する広範な利益が存在している。
●この事実はアジアの国々に最も当てはまる真実である。
●米国や米国民にしばしば欠乏しているのは「忍耐」である。国家関係構築には時間が必要であるから、米国は時間感覚が気短だから、忍耐強くなるべきである。
●国防長官になって改めて気づかされたのは、如何に多くの国が米国を必要欠くべからざる国と見なしているかと言う事実である。
同様の発言は、wikileaksから米の外交秘密が暴露された際にもありました。
↓ ↓ ↓ ↓
「他国はなぜ米と付合う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02
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31日米国防省高官が、ゲーツ長官のシャングリラ・ダイアログ参加に関してバックグランド説明を行いました。米国防省HP記事のタイトルは「ゲーツ長官米国のアジア関与を再確認」となっており、(以下想像・・)国防予算が削減になっても、国防長官が交代しても、中国が強くなってきても、米国は自由と国際協調に基づく平和を当地域で追求する、とのメッセージを発する雰囲気です。
●バイ会談予定国と相手は
スミス豪国防相、なんと中国の梁光烈(General Liang Guanglie)国防部長、北澤防衛大臣、マレーシア国防相、そしてホスト国シンガポール国防相
(今年は、中国の国防大臣に当たる国防部長が初参加です。中国は参加者のランクを上げてきました。これまでは筆頭政策担当者クラスでしたから。中身は期待できませんが・・・)
●ゲーツ長官のスピーチについて
5回目で最後となるシャングリラホテルでのスピーチであり、ゲーツ長官は、彼がこれまで見てきたこと、この間に変化が生じたこと、この間も変わらなかったこと、についてカバーするだろう。(予想:アジア諸国も発展してきたので、米国だけが守るのではなく、各国が防衛能力を強化して自身の役割を強化する時が来た。との主張)
また過去のスピーチと比べ、より詳細に、米国防省が見える形で進めている当地域でのプレゼンスと関与、更には米国が持ち込む作戦と能力について語るであろう。
そして、米国は他地域の緊急な事態や対処のため、アジアを第一に見ていないように見えるが、アジアにも焦点を当てていることを説明する。かつ国防長官が変わっても、米国のアジア政策に一貫性があり、ゲーツ長官引退後も次期長官との間に継続性があることをアジア関係国に再確認する重要な機会である。
●梁光烈国防部長との会談
5月10日にワシントンで終了した初の戦略安保対話(1月のゲーツ長官訪中時に道筋を付けた)の話のフォローアップをしたいと考えている。核兵器、ミサイル防衛、宇宙やサイバー問題を議論したいと考えている。
ゲーツ長官は両国軍当局間のポジティブな動きを生かし梁光烈国防部長との会談を楽しみにしている。特に継続的で安定的で信頼感ある軍同士の対話が「なぜ」重要なのかについて、引き続き「議論」したいと考えている。
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「なぜ対話が重要かを議論する」・・とは道遠しですね。米上院が「台湾にF-16を早く売却せよ」と決議したこともあり、米中は波乱含みです。簡単に「off」状態に戻りますから。
米中関係時系列整理
「中国軍トップ訪米と美人士官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18
「米中戦略経済対話と台湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-11
「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
「フロノイ次官の会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-12
「米中軍事交流の今後」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-23
「米中軍事交流再開へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-10
昨日の記事「震災を隠れ蓑にするな」で触れた内容のラインが高官から語られていますが、ゲーツ長官がどのように「味付け」してスピーチするのかが楽しみです。
「米国が持ち込む作戦」とはAir-Sea Battle Conceptの事になるのでしょう・・どのような表現でかな?
今後、この記事に付け足す形で3日夜から開催の「IISS第10回Shangri-La Dialogue」の様子を忘れた頃にお伝えします。
ただ・・昨年ゲーツ長官とバトルを繰り広げた馬暁天 人民解放軍副総参謀長(General Ma Xiaotian)の出席がないのが残念です。
昨年のバトルと米国のアジア政策
「質疑シャングリラ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-10
「シャングリラ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「アジア政策補習授業」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-30
日本の姿勢
「シャングリラと武器輸出3原則」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-30
「災害を隠れ蓑にするな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-31-1
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なお31日、ゲーツ長官はハワイに移動し、日本が無条件降伏の署名をした戦艦ミズーリを訪れています。メッセージはメモリアルデーの翌日でもあり「祖国のために命を捧げた英霊に祈りを」ですが、ちょっと意味深です。以前に戦艦アリゾナ慰霊碑を訪れたことがあり、今回はミズーリだそうです。
それから・・奥さんのベッキーさんが昨年、新造の攻撃型原潜ミズーリ進水式でスポンサー(たぶんシャンパンを割る人)を務めた経緯もあり、オリジナルのミズーリを訪れたかったとのこと・・・。
短い会見では、「米国が国防費を削減しても、アジアへのコミットメントは変わらない、とのメッセージを伝えに行く」とゲーツ長官は語っています
ハワイ時間の6月1日朝にはシンガポールに向け出発するとのこと・・日本時間の2日には既にシンガポールの人か・・