15日から22日の間、人民解放軍総参謀長のGen. Chen Bingde(陳炳徳)が訪米中です。マレン統合参謀本部議長の招待によるモノとの位置づけです。
おそらく、権力闘争を勝ち抜いた軍部内政に腕力を発揮した方なのでしょうが、対外政策について語る準備は全くなく、形式的な観光旅行(卒業旅行?)になるモノと思われます。
中国軍の対外政策は、最後にご紹介する馬暁天・副総参謀長が一手に握り、恐らく中央軍事委員会等のご指導に沿って行っているのでしょうから、米国としても「形から入る」つもりで坦々とこなしているのでしょう。
本日は別の観点から、米国防省公開の関連写真を吟味いたします。
下の写真はそれぞれ、到着時の出迎え、マレン議長の部屋で概要説明、近傍陸軍基地で出迎え、最後に記念品交換の模様ですが・・・・・
注目は概要説明ボードと謎の美人士官(また出た親父趣味!)です。
●概要説明ボードに記載されているのは、恐らく基本中の基本である米国の軍の指揮組織図(大統領の下に、4軍と予備役と沿岸警備隊等があり、マレン議長はここで・・・等々)です。
中国軍の方、特に権力闘争が得意で海外事情に疎い陳炳徳将軍には、この辺りから分かりやすく説明しないといけません。
急ごしらえのホワイトボードを使用している写真から見ると、準備していたパワポ説明が高度すぎ、基本に戻った説明を追加したような雰囲気が窺えます(推測です)
●もう一枚は、陳炳徳将軍によりそう美人士官(大佐?)です。
恐らく在ワシントン中国大使館の武官で、普段はこの美貌で情報収集を担当し、高官訪米中は巧みな英語で通訳を務め、人脈形成も怠りない・・・こんな感じでしょうか(妄想が過ぎましたか・・・)
最後に馬暁天(Ma Xiaotian)・副総参謀長です。
副参謀長は、昨年のシャングリラ・ダイアログでゲーツ長官とバトルを繰り広げ、フロノイ次官(政策担当)が訪中した米中軍事協議を中国代表で仕切り、5月10日に終了した米中戦略・経済対話の期間に開催された、初めての「米中戦略安保対話」でも中国代表としてワシントンに乗り込んできたお方です。
それにしても、中国の軍や国防省は組織が西側とマッチせず、真のカウンターパートが不明確なのが困ります。ゲーツ長官の相手もはっきりスッキリしないままでしたし・・・。
「質疑シャングリラ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-10
「米中戦略経済協議と台湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-11
現在の米中軍事交流をカーネギー国際平和基金のパール副所長は・・・
●米国側の焦点が、ミサイル防衛、戦略兵器、インターネットの安全、宇宙空間についてであるのに対し、
●中国側はインターネット、海事、中国に対する偵察活動を対話の焦点としている。これは中国軍が(米国が焦点とする)対話への参加にあまり積極的でないことを示している
と分析しています。
6月最初の週末に、今年のシャングリラ・ダイアログが開催されます。今年は両国がどう出るか・・・
その他の米中関係時系列整理
「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
「フロノイ次官の会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-12
「米中軍事交流の今後」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-23
「米中軍事交流再開へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-10
「シャングリラ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「徐才厚のCSIS講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-09