レビン議員提案とAir-Sea Battle

LevinOkinawa.jpg11日、米議会上院の軍事委員会をリードする大物議員3名が連名で「普天間移設合意が出来た2006年当時とは状況が変化している。高騰し続ける移転関連経費は現在の厳しい財政情勢から見れば調達不可能」、「沖縄とグアムの政治状況」や「大震災と津波で日本が受けたダメージ」を考慮すべき。  「高価なキャンプシュワブ沖への移転ではなく、普天間の嘉手納移転の実現可能性を検討せよ」と提言しました。
提言文書の実物は→こちらのレビン軍事委員長の議会サイト
普天間移設への影響については→ブログ国際情報センター13日記事
しかし皆様日本のメディアが注目する「嘉手納の普天間統合案」は、本提言のほんの小さな一部に過ぎません。Air-Sea Battleに無理矢理親しんでいただいている皆様には、きっと分かっていただけると思います。つまり・・
まず提言ペーパーでは背景として、レビン議員が、日米の厳しい財政情勢、沖縄やグアムの政治情勢、日本の大震災をあげ、マケイン議員は同盟関係がこの転換点で重要な点を再確認しています。
そしてウェッブ上院議員の次の一文・・・
WebbOkinawa.jpg我が国は東アジアにおける軍事的役割の再定義に関し非常に重大なタイミングを迎えている。歴史上のこの時、我々は明確にドクトリンを策定し、本地域、特に韓国、日本、グアムにおける戦力構成の再編を行うよう求められている。我々の関係成功は、韓国と日本との継続的で緊密な同盟維持と前方展開兵力によって保障される。
次に提言として以下の3点が・・・
韓国駐留米軍の再編計画を停止し、米軍人家族の韓国への移動増加を止めよ
海兵隊のグアム移転計画を再考し、つまりグアムに恒久的な司令部を置きつつも、グアム以外を基盤とする海兵隊部隊をローテンションで配置する。グアム島以外の訓練場確保を考慮せよ
●普天間の嘉手納移転の実行可能性を検討し、多額の経費が必要な辺野古沖案を止めよ。同時に現在嘉手納に配置の空軍戦力の一部を、グアムや日本の他の場所に分散移転させよ。
/////////////////////////////////////////
まんぐーすは「嘉手納の普天間統合案」の部分より、他の部分全ての方が大事だと思うのです。以下それぞれ3点に関するまんぐーす的解釈です。
●韓国に関しては、現在の在韓米軍の地理的集約再編案は戦力の脆弱性を増すだけだからだめ。家族を呼び寄せるのも危険だし、有事に待避させるのが大変。家族用住宅建設の大プロジェクトも予算上困難
andersenGM.jpg●(ここは自信がありませんが・・)海兵隊グアム移転は、財政上+グアム島民の反対状況から要再考。また有事弾道中国ミサイルの攻撃を受けるグアムに海兵隊を置くのは、緊急展開を制約される恐れがあり再考すべき
●費用と政治情勢から嘉手納移転ではどうか。一方で嘉手納の空軍戦力は地上でやられる可能性が高いので、嘉手納から一部を移転させたい
///////////////////////////////////////////
突き詰めて見れば、「財政悪化」と「中国脅威の急激な増大」を受け、2006年合意は見直すべきとのご意見です。
米軍事サイトも、本件に関しては「嘉手納からグアムへ空軍戦力を移動」等の見出しで伝えており、Air-Sea Battleの枠組みで当然のごとく報じられています。
「Air-Sea Battleの状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12
「前対中国で北東から南東アジアへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-03-1
「後対中国で北東から南東アジアへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-04
「久々にAir-Sea Battle」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-16-1
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09
民主党のゴタゴタより、こっちの方を「米軍の西太平洋戦略の視点」つまりAir-Sea Battleの視点から分析して欲しいものです。日本のメディアの皆様。

タイトルとURLをコピーしました