「アフガン内での車両輸送の7割は燃料と水である。そしてその輸送の防御のため、既に3000人以上の犠牲者が出ている。」
5月1日にはパキスタン領内の給油所でNATO軍の燃料輸送車や車両がタリバンの襲撃を受け、NATO関係者7名が死亡し、給油所が破壊される事件が発生しています。
これは同日、米情報機関が主導する作戦によりビンラディンが殺害された事とも関係があるのかも知れませんが、タリバンやアルカイダが多国籍軍の弱点が燃料にあることを良く承知していることを示すモノです。
4月26日、ホワイトハウスが主催したエネルギー安全保障のセミナー(White House Energy Security Forum)でリン国防副長官は冒頭の言葉を用い、国防省の燃料節約が緊急の課題であることを強調しました。
セミナーでエネルギー省副長官と登場したリン副長官は・・
●米軍内のエネルギー節約に関し、昨年国防省とエネルギー省が結んだパートナー協定は、軍のみならず国家のエネルギー節約をリードし、触媒となって一般社会にも良い影響を与えるモノである。
●エネルギー省の持つ各種の先端技術を国防省の現場に生かすことに焦点を置いた協力関係は、国家の最重要任務である国家安全保障にエネルギー省の叡智をつぎ込むことを意味する。
●国防省はこれまでジェットエンジンやネット技術・計算機技術でそうだったように、広範な民生技術を米軍に適応し、本分野でもジャンプスタートを実施することが出来る
●国防省は、米国政府機関が消費するエネルギーの8割を消費しており、その量は全世界の2/3の国よりも多い状況にある。従って節約努力は莫大な成果を生むはずである。
●アフガン内での車両輸送の7割は燃料と水である。そしてその輸送の防御のため、既に3000人以上の犠牲者が出ている。
●電源を必要とする装備が増加したため、海兵隊員は、72時間のパトロール行動を行うために一人当たり約8kgのバッテリーを携行しなければならないほどである。
●国防省は既にエネルギー節約の先駆者でもある。国防省として装備品調達の際はエネルギー消費量の提示を義務づけており、また海軍は推進技術における効率化の世界的リーダーであり、ハイブリッド方式や代替燃料面でも先駆者である。
●海兵隊は昨年秋、アフガンのヘルマンド州に展開する際、特別開発の太陽電池パネルを持ち込み、2つの前線基地を完全ソーラー化し、1/3の基地でディーゼル燃料消費を9割削減した。
●今後もエネルギー省と協力してアドバーザーを戦闘コマンドに派遣してもらう等、情報共有と訓練に生かしていきたい。
Ponemanエネルギー省副長官はこれに同意し、
●国防省の作戦規模やスケールを考えれば、これを対象とした新たな試みは国家安全保障と民生の向上に極めて重要な位置を占める。既に国防省の建物30万カ所で15億円の節約が確認されている
●オバマ大統領もエネルギー節約を重視事項に挙げているが、振り返ればニクソン大統領が海外から輸入する原油への依存脱却を目指した状況に我々は再び直面しているのである。
●リビアでの軍事作戦や中東全体の政情不安が原油価格の高騰を招いている現在では、その必要性が一層顕著である。
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今回の震災で節電の必要性が叫ばれていますが、一般家庭における2割ほどの節電は思ったより簡単だったりすることに気づいた今日この頃です。
もちろん製造業の方には大変なご苦労があるのでしょうが、米国の「命をかけた」取り組みが、石油依存からの脱却の突破口を開いてくれることを期待したいモノです。もちろん、日本人も知恵を出せ!です。