11日、新しい陸軍参謀総長が誕生しました。訓練ドクトリンコマンド(TRADOC)司令官だったデンプシー大将(General Marty Dempsey)がケーシー大将の退役に伴い就任しました。
ワシントン郊外の陸軍基地で行われた就任式で、ゲーツ国防長官は新参謀総長の持つ戦略的ビジョン、鋭い視点や静かな自信を讃えるとともに、互いに確認し解決策の検討を命じた課題を明らかにしました。
就任式でのスピーチ原稿より
まずデンプシー大将の経歴を讃え・・・
●名門デューク大学で英語学を修め、陸軍士官学校で英語学の教鞭を執った文武両道の武人である。
●しかしその能力は前線でより発揮された。イラク戦争の際は、最も困難な闘いに直面した第1装甲師団長として活躍した後、多国籍の任務移管業務の指揮を取ってイラク軍や警察の育成に尽力し、その結果がサージの成功を導いた。
●2008年には中央軍司令官(大将ポスト)の臨時代理に中将で就任し、作戦全般の見直し時期にあって新戦略や作戦計画立案をやり遂げた。
●前職のTRADOC司令官として、イラク・アフガンの教訓整理や教訓を生かした若手士官や兵士の今後の育成指針作成に着手した。また将来の陸軍のあり方検討にも取り組んだ。
共に確認した取り組むべき課題
●同大将をオバマ大統領に推薦する前、私は彼と面談し、先日陸軍士官学校で取り上げたのと同じ質問を投げかけた。
●一つは、イラク及びアフガン後、これらの戦いで得た貴重な経験を継承しつつ、如何に将来の脅威に対応する適切なサイズの陸軍にするか
●もう一つは、実戦で鍛えられた士官が戦場から戻った後、どのようにして優秀な彼らを動機付け任務を与えて陸軍にとどめ、陸軍の将来をリードする人材として育てるか、である。
同大将への期待は大きく・・
●訓練ドクトリンコマンド司令官時代に同大将が始めた「陸軍戦力デザイン研究」は、私が挙げた課題への回答を必ずや見つけてくれるものと確信している。
●同大将は、将来の複雑で予想不可能な世界が、より柔軟で打たれ強い若き士官を求めていることを良く理解している。
●言い換えれば陸軍は、若い兵士の人格と専門能力を伸ばすことに、継続して取り組まねばならないのである。デンプシー大将は、これまでの経歴で示した情熱を、陸軍の次世代育成と陸軍の変革にも向けてくれるであろう。
●「マーティー(同大将のこと)、君は正にsoldier’s soldier(兵士のための兵士)である。陸軍はその力があるものの手にゆだねられたんだ。」
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ゲーツ長官はデンプシー大将をとても高く評価しているようです。奥様(写真中の中央)も品があってすてきな方のようですね・・・。
しかし・・「soldier’s soldier」とはなかなか素敵なほめ言葉ですね。
スピーチの中でゲーツ長官が触れたウエストポイントでのスピーチについては、以下の過去記事をご覧下さい。
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2