F-35に核兵器搭載可能バージョンを設けるかについて、米空軍側が一貫してその必要性を主張しているのに対し、外部有識者の中には「今さら戦術爆撃機に核搭載が必要か?」との疑問を持つ者も少なくないようです。
地上及び海上発射型ミサイル等精密誘導兵器の発展や、F-35の追加機体改修費用を取り上げて、核搭載型を阻止しようとの動きもあるようです。この辺りについては、以下の過去記事で取り上げました。
「F-35は戦術核を搭載するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06
6日、米空軍参謀本部の海外配備核兵器問題担当のチャンバース少将(Maj. Gen. William Chambers)が、上院の関連議員の質問に答え、F-35計画の全体的な遅れを受け、核搭載可能バージョンの導入は遅れるが、計画そのものに変化はないと旨を明らかにしています。AirForce Magazine記事より
●空軍型のF-35Aは、欧州に配備される段階で、現在F-15EやF-16が通常兵器任務と共に担当しているNATOの核任務を背負うことになる。
●F-35Aは、2017年に実用化される新型核爆弾B61を搭載するように設計されている。
●F-35Aと新型B61とを適合させる予算やソフト開発は、F-35初期型開発予算に組み込まれており、担当者として喜ばしい限りである。
●F-35の開発計画が多少ずれ込んだ場合にも、核任務を補完できるような様々なオプションを検討している。
●米空軍関係者は、現状の開発遅延状況から、2018年まではF-35Aが運用可能にならないだろうと見込んでいる。ただし、F-35Aの核搭載型の開発がどれほど影響を受けて遅れるかについて確たるデータを持っていない。
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通常型と核搭載型の大きな違いは、搭載型には核爆発によって生じるEMPの影響を防止する機内配線の改良やテストが必要な点です。
上記の過去記事によれば、数百億円の追加経費が必要な事業になるようです。
本当に戦術戦闘機が核任務を負う必要があるのか・・・厳しい予算状況の中で、今後も議論が続くことでしょう。
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
F-35関連記事
「全航空機を単一リンクで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-06
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「映像:垂直離着陸型」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-12
「ソフト開発がネック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-11
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