「これは、史上最大級の(ネット通信)乗っ取りだ」(マカフィー社幹部)
本年4月8日、約18分間にわたって全世界の全ネット通信の約15%が中国の通信会社を経由するように操作された模様です。そしてその際中国を経由した膨大なデータが、中国国内でどのような処理をされてその後目的地に到達したかは、関連した中国の人にしか分からないようです。16日付「Defense Tech」記事の引用記事より
同事例は、17日に米議会の米中経済安全保障委員会が発表する年次報告書によって公の注目を浴びることになるようです。同年次報告書は「ますます悪質に高度化する中国に関連したコンピュータ活動」との表現で中国への警戒を訴えています。
同事案をマカフィー社脅威対処担当副社長(D.Alperovitch氏)は
●世界のネット通信業界は信頼の上に成り立っている。ネット上で最も早い通信を保障するとメッセージを送れば、そのルートをデータが流れる。
●本年4月8日の18分間、中国のChina Telecom Corp.は世界のプロバイダーに「我々が最速だ」とのメッセージを送ったために、データが集中した。
●このような膨大なデータ集中は年に2~3回偶然で発生しうるが、今回の特筆すべき点は、これだけ膨大なデータが集中してもデータの流れが途切れず、通常発生するデータの中断や飽和がなかったことである。
●従って誰も膨大なデータ通信が中国を経由したことに気づかなかったし、またデータが(中国内部で)通信中にどのような扱いを受けたかについても気にした者はいなかった。
●インターネット上の交通量の15%とはあまりにも膨大なデータ量で、これを一時的でも保存して後で分析するなどと言うことを(中国当局以外に)誰がなし得るだろうか。
●また、乗っ取られたデータ通信のリストには、事前に指定されていた米国の軍、情報機関や一般の通信のほか、同盟国である豪や日本へ当てたモノが含まれていた。
●マカフィー社は本件を米国政府関係者に警告したが、政府関係者はあまり気にしていないようだ。なぜなら彼らの通信は暗号化されていて大丈夫だと考えているからだ。
●しかしそれは完全ではない。暗号化は2つの鍵を用いて成り立っているが、マイクロソフト等のソフト会社は、利便性を重視してシステムが悪用されない前提で暗号鍵を運用しており、許可された同様の暗号鍵取り扱い機関に、中国の政府機関やネット情報センターも含まれているのだ。
●中国以外の者に、同様の乗っ取り事案発生を予測することが出来ない。また乗っ取りが起こっても、通信に障害が発生しなければ誰も事の重要性に気がつかない。更に技術的に高度なため、西側の一般メディアの注目を集めることもない。
●サイバー攻撃と定義されることもなく、我々の通信が読まれ利用され、そして何もなかったように宛先に届くのである。(以上が記事概要)
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あまりに技術の進歩や悪巧みの進歩が急速なので、米政府関係者も追随対処できない状況にあるのかも知れません。サイバー空間での戦いは・・・・。
世界の15%・・・これだけ膨大なデータを通過させ、また保存する能力を中国の関係機関は保有していると言うことなのでしょう・・・。その凄さをきちんと理解していないHolylandですが、本件が日本でも報道され、専門家によって解説されることを希望します。
サイバー戦関連
「サイバー司令官、国家への警鐘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-24-1
「サイバー戦略5本の柱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-20-1
「(2/2)米空軍サイバーに取り組む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-07-1
「米サイバーコマンド道遠し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-16
おまけ
「国防より組織防衛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-16
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