22日、海兵隊司令官の交代式がゲーツ国防長官参加の下で実施され、第35代司令官にエイモス大将(Gen. James F. Amos)が就任し、海兵隊史上初めてのパイロット出身の司令官となりました。
米国防省HP記事より
ゲーツ長官は式典でスピーチし・・・
●海兵隊は、最も皆から「いつくしまれ(cherished)」た組織であり、また世界で最も恐れられ、かつ尊敬された戦闘集団である
●過去8年に渡る戦いにおいて、海兵隊は陸軍のように活動し、その着上陸能力を発揮すること無しに戦ってきた。
●海兵隊は、海洋戦力としての魂と過去10年間培ってきた困難な反乱分子対応(counterinsurgency)の技能の両方を保ち続ける必要がある。
●この要求に応えるために海兵隊は、第2次大戦以前に栄光ある着上陸作戦コンセプトを開発した海兵隊の先人の艱難辛苦に似た知的能力を要求されるだろう。
●飛行士であったエイモス新司令官はこの課題に挑戦できる人物である。
退役するコンウェイ大将は最後に・・・
●まだ成し遂げなければならない任務が多く残っているし、勝利しなければならない近接戦闘がある。米国民が海兵隊員や他軍種の兵士によって行われているこの重要な仕事を理解することが重要である。
●我々は兵士達が勝利して無事帰還することを望む。私は皆さんに引き続き支援してほしいと思う。そしてその結果が皆さんを喜ばせるであろうと考えている。
エイモス新司令官は・・・
●我々は今後も引き続き、国家が最も備えていない事態に対し、最も即応できる部隊であり続ける。それが今後4年間、海兵隊司令官としての私の仕事の中心である。
“Our nation still needs a force that is most ready when the nation is least ready and, ladies and gentlemen, that will be my focus as commandant for the next four years.”
(以上が記事概要)
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本件を報じる軍事サイトは、第2の陸軍としての役割を果たすが、陸軍のように大規模な装備は保有せず、即応部隊としての特徴を強める方向性を示したモノ、と解釈しています。
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ゲーツ長官が触れた「栄光ある着上陸作戦コンセプトを開発した海兵隊の先人の艱難辛苦」について、同長官は海軍士官学校の学生に語ったことがあります。
「海軍士官候補生に語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-09
そのストーリーは・・・
●1937年、ある海軍中尉が中国沿岸部に勤務を命ぜられ、そこで初めて見た日本軍の上陸用舟艇の重要性を本国にレポートします。しかしそのレポートは注目を浴びません。
●しかしその士官は諦めずに構想を温め、10数年後にやっと耳を貸してくれる上司に巡り会い、地方の名もないボート会社を訪れます。
●そしてその会社と苦労の末完成させた米軍の上陸用舟艇が、第2次大戦で太平洋の島々の制圧と欧州の開放に大活躍することになります。
●その人物、クルラック(Victor Krulak)は後に太平洋軍海兵隊司令官になり、ベトナム戦争で海兵隊を指揮しましたが、政治家に対する発言が基で海兵隊司令官への道を閉ざされることになります。
ゲーツ長官は士官候補生に向かい、本当に正しいと信じる道ならば、そしてそれが私欲や私怨によらない国家のためのモノであるならば、自らの職を賭けても挑戦を続けるべき、と語りました。
新司令官エイモス大将(マイクを持ってスピーチ)は、パイロット出身者として海兵隊の中核勢力である地上部隊幹部を説得し、海兵隊のコンセプトを変革するよう求められています。厳しい任務です。
(関連記事)
「海兵隊司令官候補が議会で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-23
「海兵隊は生き残れるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-16-1
「海兵隊へ再び最後通牒」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16
「海軍海兵隊とも全面対決」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04-1
「2 海軍海兵隊とも対決」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07
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