プレスクラブでAir-Sea Battleを

schwartAF.jpg12日、シュワルツ空軍参謀総長はワシントンDCのNational Press Clubのランチタイムスピーカーとして講演し、厳しい財政状況化にあっても情勢の変化に立ち向かい、攻撃、輸送、宇宙(ISRと早期警戒、指揮統制)分野等での活動を通じ、米国と同盟国の空を守り続けると語りました。
また講演の中で「Air-Sea Battle Concept」への取り組み、特に海軍との協力の方向性について久しぶりに語ってくれました。珍しく中国関係についても触れています。
講演の中身については、米国防省HP記事National Press Clubの記事では注目ポイントが異なっており興味深いのですが、Holylandは独断と偏見で「おいしいとこ取り」させていただきます。
情勢一般に対する認識
●今日の米空軍が直面する情勢は、過去のいかなる国が直面したものとも異なる。
●しかし、無限の様相があり得る多様な危機全てに十分な予算を確保することは不可能。従って我々はより機動的で迅速で、多様性に富み効率的でなければならない。
●国防省全体で今後5年間で9兆円の経費削減を行うが、空軍には2兆3千億円削減が求められている
●現時点で、空軍の人員数、航空機数、基地数の変化について述べることは出来ないが、「このままで存続することは出来ない」
他軍種との協力での効率化(Air-Sea Battle関連の海軍との協力)
SchwartzAF2.jpg●まず海軍と空軍は制度的(institutional)にも共に働かなくてはならない
●2つに、海軍と空軍のシステムをどのように(conceptual)連接し統合して運用するかについての合意が求められる
●3つに、装備品(material)の相互運用面での協力がある。将来の統合能力に向けて統合調達戦略も求められる。
●上記全てを持って、各軍種の効率性がより増幅される。
医療費の増加が大きな課題
●現在3兆2千億円である医療費が、2015年には5兆円程度の膨張する見込みであり、これは空軍予算の12-14%にもなる。制度の変更は不可避である
中国との関係
●中国との関係を維持することは重要である。例えば中国にC-130輸送機の売却を提案することは、中国との軍事交流を確実にするためにポジティブな方法であろう。
アフガンでの民間人被害について
●民間人の被害の8割は多国籍軍の攻撃とは関係のないものである。多国籍軍の空対地攻撃による被害は全体の8%程度である。
サイバー空間と宇宙事業について
サイバー空間における交戦規定と各種基本的事項が十分には示されていない状況である。
宇宙空間における監視が、脅威の源泉を探知し抑止するのに必要不可欠である。(以上は記事概要)
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Air-Sea Battle関連の発言ですが・・・
●海軍と空軍のシステム統合や連接は、前線の作戦情報を扱うシステムの暗号構造等が異なるため困難を極めている状況です。そして恐らく、どちらがどちらに歩み寄るか・・どちらの指揮所をメインにするか等々の軍種のメンツを賭けたつばぜり合いになっていると考えられます。
RQ-4-2.jpg●装備の相互運用性に関しては、例えば無人機の扱いが大きな課題です。例えば双方がRQ-4グローバルホークを導入しますが、その整備部門の共通化や運用部門の統合なども議論の対象でしょう。
そして本丸は、LRS(長距離攻撃システム)です。空母艦載型により比重が置かれるのか、引き続き陸上発進型が中心となるのか、空軍や海軍の戦闘機数は・・パイロット数は・・全てが重い課題です。
5月26日にマレン統合参謀本部議長が「Air-Sea Battle ConceptのRoll-Outを27日から開始する」と空軍士官学校の卒業式で宣言して以降、久々のAir-Sea Battle関連発言ですが、CSBAレポートが予言したように海空軍間の話の詰めは難航しそうです。
「AirSea Battleとミッドウェイ68周年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-08
「太平洋軍のAir-Sea Battle検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-05
「対中へミサイル原潜増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-10
「Air-Sea Battleの起源」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24-1
「QDRから日本は何を読みとるべきか(1)」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「(その6)CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24

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