15日、ゲーツ国防長官は2005年以来初となるロシア国防相の訪米を歓迎し、5時間にわたる協議の後に軍事交流に関する覚書きに署名しました。夜は船上での夕食会と、これまた異例の歓待ぶりを見せた米国防省です。
ゲーツ長官は2008年3月にロシアを訪問していますが、特に露によるグルジア侵攻以降は米露関係が冷却し、以来途絶えていた米露軍事交流ですが、今後段階的に進められることになります。以下は15日付米国防省HP掲載の記事から
長時間の会談では・・・
●国防改革 ●戦略兵器削減条約
●アフガニスタンでの作戦状況
●アフガンへの陸上補給路で露や中央アジア諸国を通過するNDR(Northern Distribution Route又はNorthern Supply Route)について
等々についてが話題になったようです。(もちろんイラン問題もあったとは思いますが記事には記述無しです。)
(Northern Distribution Network関連過去記事)
「ゲーツ長官キルギスへジャブ」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-15
もちろん順調に両国の軍事面での理解が進むわけではなく、
●ゲーツ長官は、「対話の再開が、本日の最大の前進だ」、「相互協議のリズムを確立した」とコメントし、
●セルジュコフ露国防相は、「我々は深く細部にわたる議論を行った」、「双方が努力を継続することを希望する」と語り、双方とも「まず第一歩」との感触を表明しています。
覚書きの中身は・・・
●分野別ワーキンググループ設置(軍改革、軍再編、軍政策優先と安全保障、透明性確保、信頼醸成、世界及び地域情勢)
●少なくとも年1回の国防相会談実施
●共同の軍事演習再開
●ロシア兵士の米下士官学校への入学、等々
この後、セルジュコフ国防相はヴァージニア州の基地閉鎖取り組み現場と周辺の福利厚生施設を視察、海軍士官学校も訪れる予定だそうです。(以上が記事概要)
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ゲーツ長官は学生時代、ロシア史の教師になろうとしていた時期もあり、いろいろ話題は豊富なのでしょう。
また双方が軍改革に取り組んでいることから、軍の状況が異なるとはいえ、このあたりを困ったときの「酒の肴」にするのかもしれません。何せロシア軍は、士官と下士官の比率が現在1対1で、今後士官ポストを約20万削減するそうです。昨日紹介のゲーツ取得改革も大変そうですが、ロシアも困難度では負けていません。
ゲーツ長官による関係国との関係再構築の動きは精力的です。
CIA長官時に自ら関係を絶ったパキスタンとの関係修復には、先方軍学校の学生から罵声を浴びながらも取り組み、人権問題でこじれていたインドネシアとの軍関係再構築にも汗を流しています。また中国との交流再開もめどが立ちそうな雰囲気です。
「パキスタンで罵倒される」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-23
「インドネシアと関係再開」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-23
「オスプレイと米中軍事交流再開」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-23
本当は日本とも緊密にやりたいところでしょうが。。。。。
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