対艦弾道ミサイル基地建設?

ShaoguanDF-21D.jpg5日付「Defense News」記事が、米国の研究機関「Project 2049 Institute」がWebサイトに掲載した情報として紹介しているところによると、中国軍第2砲兵は中国南部広東省北部のShaoguanに「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル(ASBM:DF-21D)の基地を建設中で、7月28日に地方政府の役人が同基地を訪問したと新華社通信が伝えている模様です。
地図で見ると、Shaoguanは香港の北約250kmにあります。
5日付「Defense News」記事の概要は・・・
DF-21Dは世界初の対艦弾道ミサイルとして中国が2011年以降の早い時期に初期生産に入るのでは、と言われているミサイルで、中国大陸に米海軍艦艇を寄せ付けないAnti-accessの中核を成す新兵器。
●専門家の中には、ASBMを実現した国が無いこと、また中国の水上移動目標探知・追尾能力が十分でない点を指摘する者もいる。しかし本年3月、上下両院軍事委員会でウイラード太平洋軍司令官は「中国は対艦弾道ミサイルのテスト段階に近づいている」と証言している。
DF-21D.JPG●DF-21シリーズの中国南部への配備は、東南アジアの安全保障に大きな影響を与える。
●DF-21シリーズは、大部分のベトナムの地上目標(カムラン湾の艦艇も)やフィリピンのスービック湾を射程に入れる。仮にDF-21Dの射程が2000kmと確認されれば、南沙諸島を含む南シナ海の7割を射程に納めることになり、この地域での中国の拒否戦略遂行や「南シナ海の支配」を支えることになる。
●中国は既に、台湾海峡沿いの地域に1300発以上の短距離弾道ミサイルや多数の巡航ミサイルを配備し、ワシントンDCを射程内に置く移動式DF-31も保有している。
●基地のあるShaoguan近郊では、広東省と湖南省をつなぐトンネル建設「万里の長城計画」が進行しており、この計画を何故か中国軍第2砲兵が担当していることも気になるところである。(以上が記事概要)
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「Defense News」記事は、研究機関「Project 2049 Institute」の情報が正確かどうか確認できないと慎重な表現になっていますが、上記記事は非常に理屈にあった内容になっています。
米国は最近、中国の南シナ海への進出をあらゆる場で懸念を表明しており、その背景にこのような動きがあるのかもしれません。
もちろん南シナ海だけでなく、東シナ海から第2列島線近くまでがこのDF-21Dの射程にあります。
gatesSTART3.jpg米国による懸念表明例
5月6日:ゲーツ国防長官によるシャングリラ・ダイアログ演説
7月23日:クリントン国務長官がASEAN地域フォーラム(ARF)で、南シナ海領有に関する中国側の主張を完膚なきまで論破
(関連記事)
「中国が対空母演習」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-01
「シャングリラ・ダイアログ演説」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「(質疑)シャングリラ演説」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-10

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