(追加)QDRの公式評価書

qdrsmall.jpg先日、29日に発表された議会要求による2010QDRのアセスメント報告The QDR in Perspective: Meeting America’s National Security Needs in the 21st Century」の概要を軍事情報サイト「DefenseNews」の記事でご紹介しましたが、29日付米国防省HPが国防省目線の記事を掲載しましたので紹介します。
その前に・・・・30日に実施されたゲーツ長官とマレン議長の「情報漏洩サイトWikileaks」をメインにした記者会見に臨みました。
gatesWikileaks.jpg会見の最後に出た、記者からのQDR評価書に関する質問に対し、ゲーツ長官は「まだ細部を見ていないのでコメントできないが、ペリー元国防長官は『勝つか負けるかの勝負をQDRに挑んでいるのではなく、win-winな関係でより良い国防政策に導いていきたい』旨のコメントをしていた。そのような意味で参考にしていきたい」と述べているところです。
国防省目線で同レポートを記事にすると・・・
●専門家グループは、QDRは4~5年先しか見ておらず、将来を見ていないとしている。しかし同時に、ペリー氏は「私が国防長官であっても、イラクやアフガンに対し、4-5年の範囲であれば同じようにしたであろう」と述べている。
●同グループは、国家にとっての政治を超越した継続的な国益について4つをあげている。それは、本土安全保障、海空宇宙サイバー空間への確かなアクセス、西アジアにおける好ましいパワーバランス、そして包括的な人道的公共財である。
●ソフトパワーによる外交や文民による支援は重要であるが、安全保障上の懸念が世界で1番の懸念であり続けるだろう、とハドレー氏は述べた。
●同グループは、9年に渡る戦いで疲弊した装備品を更新するため資金を投入するよう主張しているが、これに関しペリー氏は「確かに高価な施策だ。しかし今やらなければ、将来はもっと高額になる」と述べた。
●顕著な中国の軍事力強化に対応し、西太平洋の米海軍を増強する必要があるり、米空軍は長距離攻撃能力を改善する必要がある。中国との紛争を予期しているわけではない。もし起こったら外交上の大失策である、とペリー氏は述べた。
obamaSECU.jpg●研究開発管理に関し、ペリー氏は「歴史的に見て、4-5年で実用化された開発計画ものは現場でも活躍している。10年を越えるものは駄目である。」また「調達部門は責任の所在が極めて不明確で、多くの官僚組織が不明瞭な形で仕事をしている」と非難した。(写真は29日Af-pak問題を協議する国家指導層)
●給料や手当が膨らみすぎている。人件費を削減すべき。退役者の特典を得られる義務勤務年限を、現在の20年から40年にまで伸ばすことも検討してはどうか?
●州軍や予備役と正規軍との関係やそれぞれの適正規模を再評価すべき。
/////////////////////////////////
william j. perry.jpgStephen Hadley.jpgQDRに比較し「中国」に対する直接的な言及が特徴とも言えます。
また、資金の裏付けを明確にしないで脅威認識のみから装備品の更新・近代化を訴えるところが、「純軍事的」とも言えますが、議会のマンデートを有するとはいえ「責任のない」専門家グループの特徴を表しています。
「中国との軍事衝突は外交的な大失策」とし、その防止に抑止力強化の重要性を指摘し、西大西洋の軍事バランスを有利にしていきたいとの考えは、CSBAレポートと基礎を同じくしています。
QDR、CSBAと「Joint Air-Sea Battle Concept」の関連記事一覧はこちら 
誤植なのかもしれませんが、退役恩恵を得るために40年の勤務となると、受給できる人が大幅に少なくなり軍勤務の魅力が「大暴落」すると思います・・・・。
今後このアセスメント報告がどのように扱われるのかは分かりません

コメント

タイトルとURLをコピーしました